嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2012/08/12 [21:08:36] (Sun)
僕は他の人よりちょっとだけ違うものが見える。
それはどこにでもいる。
ふと見た木陰に立っていることもあるし、夜、部屋の隅にわだかまっている事もあった。井戸を覗き込んだらその底に溜まっていたこともあったし、縁の下や蔵の窓から溢れている事もあった。
初めて見たそれは黒いもやもやとしたもので、何となく怖いものだと思ったから、出来るだけ近付かないようにした。
それに気を取られて転ぶことはしょっちゅうで、そそっかしい子だねぇとよく言われた。ぼくはその言葉が心配してのことだって判っていたから、照れ笑いで返すだけだったけど。
だけど、忍術学園に入学してから、「それ」は変わった。
「それ」はだんだんと人の形をとってくるようになった。
相変わらずもやもやとしているけど、それは確かに人のような形をしている。