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嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2025/07/05 [20:52:31] (Sat)
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2012/12/21 [23:31:11] (Fri)
山村喜三太

拍手[7回]

 はにゃ~、あのねぇ、ぼくこの前ナメさんに助けてもらったんだぁ。

 うんそうだよぉ。助けてもらったの~。

 ナメさんたちってば光り輝いてたよ~!もう立派な忍ナメだよねぇ。

 ねぇねぇ金吾、聞いてくれるぅ?

 

 

 えへへ、それがねぇ~、夏休みのことなんだけどぉ。

 

 ほら、ぼくたちお家が遠いじゃない?金吾と途中まで一緒に帰るでしょ?それで、金吾と別れてすぐの話なんだ~。

 

 山の中を歩いてたらねぇ、だんだん雲行きが怪しくなってきて、あっと思ったらどしゃぶりになっちゃったの。

 夏だし野分けが来るのは珍しい事じゃないんだけどお、外にいる時一人でって言うのは初めてだったの~。怖かった~。

 

 もうねぇ、本当に大変だったんだよ。風がびゅうびゅう吹いて、もし森の中にいなければきっとぼく飛ばされちゃってたよ。

 雨宿りしようと思ったんだけど、上から折れた木の枝が落ちてきてね、危ないと思って近くにあった洞窟に入ったの。

 その時はねぇ、ぼく運が良かったなぁって思ったんだ~。

 洞窟の中は岩でできてて頑丈だし、大人でも入れるくらい大きいし。

 それでねぇ、雨が止むまでナメさんと遊んでたの。もう、あと山ひとつかふたつ越えれば里の近くだし、急ぐ事もないやぁ、って。

 

 それで、は!と気付いたら、ナメ助が洞窟の奥の方に行っちゃってて~。

 

「ナメ助ぇ~、そんな遠くに行ったら迷子になっちゃうよう」

 

って追っかけてったんだぁ~。

 その時ね。

 なんていうかなぁ、地震っていう感じじゃなかったんだけど、地面っていうか、洞窟が揺れ出して~。はにゃ?ううん、地震自体はすぐ治まったんだけどぉ、すぐ後にごおおって音が聞こえてきたんだぁ。

 

 はにゃ~、怖かったよう。

 ぼく山津波が起きてるところ初めて見ちゃった~。

 

 びゅわああごわああっていってる風の音も聞こえなくなるくらいの、大っきな、すっごく大っきな音がねぇ、こう、ぐわごわがあああー!って!

 

 それでね!なんと、洞窟の入り口が埋まっちゃったの!

 閉じ込められちゃったの!

 

 もうねぇ、洞窟真っ暗で何も見えないし、どっちが入り口だったかもわかんないし、土埃で咳が止まらないし。ぼくちびりそうだったよお。

 怖くて怖くて大泣きしちゃった。

 

 それでね、ナメ壷抱えてわあわあ泣いてたんだけど、ナメさんがね、どんどん壷から出てくの。

 置いてかれちゃう!と思って、

「待って、待ってよう」

って言いながらナメさんを壷に戻してたんだけど、入れても入れてもどんどん出てきちゃうんだ。

 どうしよう、ってナメさんを眺めたとき、あれ?って気付いた。

 

 

 まっくらなのに、ナメさん見えるよ?

 

 あれぇ?

 

「ナメさん、光ってる……」

 

 

 さっすがぼくの忍ナメだよぉ!なんかね!ぼわ~って青白く光ってたの!

 ぼくがたまげてひっくり返ってる間に、ナメさんたちはキレーに整列してどこかに向かい始めた。

 もうぼく怖いのも忘れて夢中で追いかけちゃった。

 

 だってぇ、光るナメさんだよ?

 整列する、光り輝くナメさんたちだよ!?

 ぼくの目はナメさん以上に輝いてたと断言できるよ!

 綺麗だったな~ナメさん。あのね、特にナメさんの目がきれいだったの。まるで星みたいにキラキラしてて~、うっとりしちゃったぁ。

 

 そいで夢中になって追いかけてたら、なんだかずいぶん狭い道を行くんだよ。ぼく子供でちっちゃいのに、立って歩けなかったもん。あのギンギン先輩みたいに、ずりずり~って進んでった。

 夢中になってずいぶん進んだなぁ、って思って顔を上げたら、遠くの方にナメさんとは違うお日様の光が見えた。

 あっ、外だ!と思って、ナメさんを拾いながら急いで顔を出したんだけど、ねぇ、ポカーンてしちゃった。

 

 だってね、そこ、ぼくが顔を出した穴はね、里の外れの狸穴だったんだぁ。ぼくと顔を見合わせたタヌキがびっくりして逃げてったもん。

 もうすっかり雨はやんで、からっと綺麗な空だったね~。

 

 ね、ナメさんってばすごいでしょ!

 洞窟の中から、ぼくを助けてくれたんだよ~。

 そうだよ、今ナメ壷の中に居るのが、その時のナメさんメンバー、略してナメンバーだよ!

 ね~ね~見たい?見たいよね~!

 そんな遠慮しなくても大丈夫だよう、見せてあげる~……あっナメさんがああ!

 

 はにゃー!立花せんぱぁ~い、受け止めてぇ~!

 

 

 

先輩のコメント

善法寺:

いやあ凄いよ仙蔵。喜三太の声が聞こえた瞬間の君の移し身の術の速さと来たら、見た事がないくらいだったよ。プロ忍だって気付かないだろうね。

……でもなんだってその移し身が僕なんだい!おかげでナメクジは僕が全部受け止める事になったよ!しかも顔面でね!

いいよいいよ、どうせ僕なんかいつもこんな役回りなんだよ。いつも何かしら引っ被ってるキャラなのさ。鼻水とかぞうきん水とか汁物とかナメクジとか。

あぁ金吾、気にしなくてもいいんだよ、決して君のせいじゃないからね。

それにしても、本人はそう重く受け止めてないようだけれど、随分な危機一髪じゃないかい?

……嗚呼、そうなのかい、いつもなの……。金吾、君も苦労するね……。

 

立花:

ゴ、ゴホン。あー伊作、その点に関しては流石に悪かったと思っている。一つ貸しにしよう。だから山村喜三太を私の隣に持ってこようとするんじゃない。私は湿り気が苦手なんだ!

ああ……いや、皆本、お前の謝る事ではない。……しかし小平太といい同室といい、お前もつくづくと苦労人だな。

山村の事は私にはどうにもできんが、小平太の事で困った時には我々に頼るがいいさ。付き合いの長い分、多少はどうにかできる術を持っているからな。

……しかし、奇跡の大脱出というような話だが……心の傷にならなかったのは良いが、全く堪えておらんというのもな……。土井先生の苦労が偲ばれる……。

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