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嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2025/07/06 [06:55:57] (Sun)
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2013/03/04 [22:10:31] (Mon)
下坂部平太

拍手[8回]

 ええっとぉ、それじゃあぼくの番……

 ぼくが今学期一番ドッキリしたことはねぇ、小鬼を見ちゃった……てこと。

 一番怖かったのは~、え~と、夜に厠行こうとして、鉢屋センパイ扮する伝子さんと本家伝子さんの女らしさ勝負を見ちゃったこと……。

 でも伝子さん対決は皆も見たと思うし、ドッキリした事を話すね……。

 

 用具委員会ではね、年二回くらい用具の虫干しをするんだぁ。ついでに倉の大掃除もするんだけど、用具倉庫は物がたくさんあって大変だから~、学級委員長委員会に手伝ってもらったりしてるんだ。

 ぼくたち用具委員会の一年生はみんなのんびり屋だから、庄左門とか彦四郎はテキパキ働いてて……。さすが、学級委員長ってすごいんだなぁと思ったよぅ。

 しんべヱもね、お腹いっぱいの時は大人顔負けの力持ちだから、すごいんだけどね。

 

 でもしんべヱがやる気出すと、通りすがりのセンパイとかが皆ギョッとしてショック受けたみたいな顔して去っていくから……。

 

 一回立花センパイと潮江センパイが通りかかった時はねぇ、立花センパイは物凄く早足で去っていくんだけど、潮江センパイは「おゥてめえ食満!一年に負けてんじゃねえぞ!」とか妙に焦った顔して食満センパイと鍛錬始めちゃうんだ。

 潮江センパイはいいけど……、食満センパイは仕事して欲しいんだよね。食満センパイが居ないと虫干し終わらないから。

 

 

 なぁに、伏木蔵……?面白い……て?

 伏木蔵ぉ~、スリルを求めるのはいいけど、センパイに失礼な事言ったら怒られちゃうよう。しかもあの学園一ギンギンに忍者してる潮江センパイと、潮江センパイと肩を並べる武闘派の食満センパイだよぅ。怖くてちびっちゃうよぅ~。

 

 

 あ、うん……。

 

 それでね、用具倉庫の中には本当にいろんな物があってね、虫干しは大変だけど、結構楽しいんだ……。壊れてる物があると食満センパイが直し方教えてくれるし、怖いけど優しいセンパイなんだよ。

 一回休憩しようってことになった時も、食満センパイがしんべヱと喜三太連れてわざわざお茶とお茶菓子用意しにいってくれたんだ……。

 まあ、小鬼に遭っちゃったのはその時なんだけど……。

 

 その時、富松センパイとぼくは倉庫の番と場所の用意で残ったの。

 

「よし平太ァ、そっち押さえてろよー」

「はぁい、富松センパイ~」

 

 その時、倉庫の中に何かねずみみたいな小さなものが入り込むのが見えて、ぼく、慌てて追いかけたの。

 あ……、あの、用具倉庫の中ってね、齧られたら困っちゃうものもたくさんあるんだぁ。飾りとか、木彫りとか、巻物とか、いろいろ。だから、ねずみは怖かったけど気合いれて追いかけたの……。

 ねずみってばっちいでしょ、斜堂先生が倒れないような退治しなくちゃって。

 

「せんぱい……、ねずみが」

「何ィ?ふてえ野郎でえ、ちっと待ってろ」

 

 富松センパイもねずみの厄介さは知ってるから。腕まくりしながらついてきてくれたんだけど……。

 用具倉庫についた所で、ぼくはキャッと悲鳴を上げちゃった。

 

 だって、あのねえ、そこにいたのは、御伽草子にいるような鬼だったんだよぅ!

 

 ……大きさは……ぼくの手のひらくらいだったけど……。

 

 センパイもすぐ駆け付けてくれて、腰を抜かしちゃったぼくを支えてくれたんだ……。けど、小さい鬼を見てやっぱり固まった。

 

 あの、富松センパイはね、ちょっと妄想が激しいところがあるっていうか……。

 

 小鬼を見つめながらブワッと脂汗かいてたから、きっと何か妄想してるんだなって思った。

 でも、ぼくもびっくりしちゃってよく覚えてないんだけど、小鬼さんもびっくりしてたみたいなの。

 びよんってバッタみたいに跳んで倉庫の中をすごい勢いで走り回ってたもん。こっちに飛びかかってくるんじゃないかって、すごく怖かったよう。


 なんかね、あの、斜堂先生が嫌いな、夏になると食堂によく出てくる虫……なんていうんだっけ。平べったくて、カサカサ動くの……あの虫みたいだったよぅ。

 

 だけど富松センパイが咄嗟にぼくの前に出てくれたから、ちびる程じゃなかった……。富松センパイも怖かったと思うんだけど……。

 

「平太さがれ、ゆっくり、慌てんな。食満先輩呼んできてくれ」

 

 ……センパイって、かっこいいね。

 

 結局その小鬼はカサカサーッ!て倉庫の窓から逃げ出しちゃって、食満センパイもすぐに来たから、大丈夫だったんだ。

 

 でもね、この話はそこで終わりじゃなくって……ね。
 

 

 虫干しに出してる用具の中に。
 
 その、小鬼がね……描かれた扇子を、見つけちゃったんだ。

 

 

 食満センパイが言うには、鬼が使ってたっていう曰くがあるんだって……。

 「ホントかウソかわかんねえけどな」って笑ってたけど、ぼくと富松センパイは笑えなかったよ……。

 

 あれから、ぼく富松センパイと二人きりでももう怖くなくなったんだ。

 だって、一人きりで用具倉庫に行くなんて、ぼくちびっちゃうもん……。

 

 富松センパイはすごく頼りになるセンパイだよ……。

 

 だって、用具倉庫で「気のせいだよ~」って言ってぼくを一人きりにしたりしないもん……。

 

 だってね、用具倉庫って……けっこうカサカサ音するんだ。

 それが、一つじゃないんだ……。

 

 ……虫……なのかなぁ……。






 

先輩のコメント

 

富松

俺も用具委員会三年だ、物にゃあそーゆーこともあるって知ってた。知ってたってんだよ!遭うのが初めてだっただけでい!

ア?委員会に行くたび念仏唱えてる?ちっげえよ!「心頭滅却心頭滅却」て言い聞かせてるんだよ!

ちょっと前から平太が懐いてくれるようになったんだ、先輩としてかっこわりいトコ見せらんねえだろうが!

 

だから俺ぁ米が降ってもバッタが降ってもデケエ足が降ってきても動揺しねえようにしてんの!無理だったけど!

ああ~クッソ、食満先輩だったら全然カケラも動揺しねえんだろうなぁ。

平太ってけっこう鋭いしよう、ビビってんのバレてんじゃねえかって不安だよ。

 

 

食満

あー、な。俺も用具委員長を務める身だし、なんとなくもやっと知ってはいるんだ。だけどなぁ、あれ等は基本、下級生にしかちょっかい出さないんだよな。確証がねぇ分面倒つーか……。

ん?しんべヱと喜三太はちょっかい出されてないだって?

 

そりゃお前、考えてもみろよ。

ちょっかい出した途端に飛び散る大量のナメクジ、発射される鼻水。

とくにしんべヱの鼻水なんか致命的だぜ。一度くっついたら、モノによっちゃそのまま廃棄するしかねぇ。

あれ等がどういうモンかハッキリとは知らねぇが、命は惜しいんだろーよ。

 

……そのぶん作と平太にしわ寄せが行っちまってるような気がしなくもねぇんだが……。でもなぁ、あの二人いなかったら委員会回んねえし、結論としちゃ委員会全員で行動するのが一番いいんだよなぁ。

 

たとえそれで合鴨の親子とかアヒル委員会とか保育所とか言われようがな、ソレが一番いいんだから仕方ねぇだろ!これが用具委員会の理想型なの!

だァから!俺の趣味じゃねーっつってんだろが!

 
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