嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2018/06/30 [22:45:11] (Sat)
しかし、うむ、実はちゃんと理由がある。
あまり人に話したことはないのだが、数馬にはいつも世話になっているしな!
作兵衛には秘密だぞ。またいらん妄想と心配性を暴走させるだろうし。
うむ、実はな。
ぼくは正確にはそんなにひどい方向音痴というわけではない。
自分が通って来た道はちゃんとわかるのだ。
道道に何があったかも覚えているし、星や太陽から方角を図ることもできる。
忍びならずとも、旅をする上では誰しもができて当然のこと、それは当然のようにできるのだ。
何より……、うーむ、ここからが信じてもらえるか微妙な話になるのだが、まあ数馬は保健委員だしな!ぼくの目と頭が正常かどうかくらいきっとわかるだろう。
何より、そう、ぼくの通ったあとにはーーしるべが残る。
人の通った痕跡とかそういう物理的なものではない。
ぼくだけに見える、道しるべがこう、転々とな、落ちているのだ。
何というかな、こう、光るものだ。夜に見るときれいだぞ。
それらはまるでツユクサの花に陽の光を透かしたような、きれいな浅葱色をしている。
透き通って美しい、氷のようにも海のようにも空のようにも見える……びいどろの雫のようでもある。
だがそれらとはぜんぜん違う。それは光を受けたように、自ら光っているのだ。
ううむ、説明が難しい。見せられたら早いんだが、しかし、ぼく以外にも見えるようになってしまったらそれはそれで大変なことになるかもしれん。
だから、ぼくは自分の通ってきた道はわかる。
だのに、何故迷子になるのかって?それはな、理由があるのだ。
あの薄青く光る道しるべを辿って戻ろうとすると、そのなんだ。
それはな、とてもきれいでな。どうも、
ーー魅入られたようになってしまうのだ。
それで、気付くと、昼夜を問わず、己の通ってきた道を延々と戻り続けるようになってしまうのだ。
延々と、飲まず食わず、休みもとらず。
ずうっと足元を見ながら歩き続けるようになってしまう、らしいのだ。
いや、一回その状態になったことがあってな!その時は家族が止めてくれたが、まるでゆっくり時間を巻き戻しているかのように家から出たり入ったり、何をするでもなくひたすらウロウロと歩き続けるものだから、気が狂ったのかと思ったと言われたぞ!
うん?ああ、その時はな、親父殿が薪で脳天をぶっ叩いたら正気に戻ったそうだ!いやあの時の一撃は痛かった!
心当たり?うーむ……まあなくもない、と言っておこう!
まあまあ、どうどう。落ち着け数馬。あいたっ!落ち着け!暴力反対!はんたーい!あたぁっ!
わかったわかった、話す!話すからやめろぅ!
ぬう、いや、東の方の山に登ってからそういうことが起きるようになったから、たぶんそういうことじゃないのか?
どういうって、一度帰省しろ的なやつじゃないのか?山に帰れ、みたいな。
恐らくだが、あの道しるべは最終的にあの山に繋がっているのだろうと思うぞ。
あの綺麗なものを見つめながら歩き続けていたら、きっといつの間にかあの山に着いているのだろう。たぶん。
ぼくはこれっぽちも山に帰る気はないがな!
まあ、そういうわけで、ぼくは同じ道を通って元の場所に帰る、ということができない!のだ!
魅入られないように視線をそらしていると足元が不如意で危ないだろう?だから別の道を探して、道しるべがちらりとでも見えるたびに道を変えて、を繰り返しているとな、わかるだろう。
結論として、なかなか目的地につけないーーつまり。
うむ、まあ不可抗力だが。
人は、それを迷子というのだ!
治療中の保健委員のコメント
数馬:
確かに不可抗力だけどそれ胸を張りながら言うセリフじゃなくない!?
作兵衛が知ったら怒髪天だよ!
はあ、でも、そっか……。
なるほどね、だからあんな急角度で方向転換しまくってるんだ。
ぼくは半分本気で、方向感覚が異次元を飛んでるのかなって思ってたよ。風に吹かれて気ままに旅、とかいう酔狂な話は聞いたことあるけど、それにしたって左門と三之助のまわりだけ風の吹き方尋常じゃないなって思うもの。その周辺、竜巻が5個くらいあるでしょ?って思うもの。
……あれ、じゃあ三之助ももしかして理由があったりするのかなあ?
あ、ちょうどいいところに。
三之助ー!聞きたいんだけど!
迷子になるのに、もしかして理由に心当たり、あったりする?
通りすがりの同輩のコメント
三之助:
迷子ぉ?おれ迷子になったことねえじゃん。それむしろおれがお前らに聞きたいん……げっ、作。
作兵衛:
んん〜?なぁんか今、聞き捨てならねぇセリフが聞こえたよ〜な気がするんだけどよぉ……?
うんうん、なんだって?そうかそうかぁ……。
さぁぁぁんんんのすけぇえええええ!!!!どの口が言いやがるァアアあああてめェごるぁああああ!!!
(以下、追いかけっこ勃発)
うーむ……。確かにその通りだ。
しかし、うむ、実はちゃんと理由がある。
あまり人に話したことはないのだが、数馬にはいつも世話になっているしな!
作兵衛には秘密だぞ。またいらん妄想と心配性を暴走させるだろうし。
うむ、実はな。
ぼくは正確にはそんなにひどい方向音痴というわけではない。
自分が通って来た道はちゃんとわかるのだ。
道道に何があったかも覚えているし、星や太陽から方角を図ることもできる。
忍びならずとも、旅をする上では誰しもができて当然のこと、それは当然のようにできるのだ。
何より……、うーむ、ここからが信じてもらえるか微妙な話になるのだが、まあ数馬は保健委員だしな!ぼくの目と頭が正常かどうかくらいきっとわかるだろう。
何より、そう、ぼくの通ったあとにはーーしるべが残る。
人の通った痕跡とかそういう物理的なものではない。
ぼくだけに見える、道しるべがこう、転々とな、落ちているのだ。
何というかな、こう、光るものだ。夜に見るときれいだぞ。
それらはまるでツユクサの花に陽の光を透かしたような、きれいな浅葱色をしている。
透き通って美しい、氷のようにも海のようにも空のようにも見える……びいどろの雫のようでもある。
だがそれらとはぜんぜん違う。それは光を受けたように、自ら光っているのだ。
ううむ、説明が難しい。見せられたら早いんだが、しかし、ぼく以外にも見えるようになってしまったらそれはそれで大変なことになるかもしれん。
だから、ぼくは自分の通ってきた道はわかる。
だのに、何故迷子になるのかって?それはな、理由があるのだ。
あの薄青く光る道しるべを辿って戻ろうとすると、そのなんだ。
それはな、とてもきれいでな。どうも、
ーー魅入られたようになってしまうのだ。
それで、気付くと、昼夜を問わず、己の通ってきた道を延々と戻り続けるようになってしまうのだ。
延々と、飲まず食わず、休みもとらず。
ずうっと足元を見ながら歩き続けるようになってしまう、らしいのだ。
いや、一回その状態になったことがあってな!その時は家族が止めてくれたが、まるでゆっくり時間を巻き戻しているかのように家から出たり入ったり、何をするでもなくひたすらウロウロと歩き続けるものだから、気が狂ったのかと思ったと言われたぞ!
うん?ああ、その時はな、親父殿が薪で脳天をぶっ叩いたら正気に戻ったそうだ!いやあの時の一撃は痛かった!
心当たり?うーむ……まあなくもない、と言っておこう!
まあまあ、どうどう。落ち着け数馬。あいたっ!落ち着け!暴力反対!はんたーい!あたぁっ!
わかったわかった、話す!話すからやめろぅ!
ぬう、いや、東の方の山に登ってからそういうことが起きるようになったから、たぶんそういうことじゃないのか?
どういうって、一度帰省しろ的なやつじゃないのか?山に帰れ、みたいな。
恐らくだが、あの道しるべは最終的にあの山に繋がっているのだろうと思うぞ。
あの綺麗なものを見つめながら歩き続けていたら、きっといつの間にかあの山に着いているのだろう。たぶん。
ぼくはこれっぽちも山に帰る気はないがな!
まあ、そういうわけで、ぼくは同じ道を通って元の場所に帰る、ということができない!のだ!
魅入られないように視線をそらしていると足元が不如意で危ないだろう?だから別の道を探して、道しるべがちらりとでも見えるたびに道を変えて、を繰り返しているとな、わかるだろう。
結論として、なかなか目的地につけないーーつまり。
うむ、まあ不可抗力だが。
人は、それを迷子というのだ!
治療中の保健委員のコメント
数馬:
確かに不可抗力だけどそれ胸を張りながら言うセリフじゃなくない!?
作兵衛が知ったら怒髪天だよ!
はあ、でも、そっか……。
なるほどね、だからあんな急角度で方向転換しまくってるんだ。
ぼくは半分本気で、方向感覚が異次元を飛んでるのかなって思ってたよ。風に吹かれて気ままに旅、とかいう酔狂な話は聞いたことあるけど、それにしたって左門と三之助のまわりだけ風の吹き方尋常じゃないなって思うもの。その周辺、竜巻が5個くらいあるでしょ?って思うもの。
……あれ、じゃあ三之助ももしかして理由があったりするのかなあ?
あ、ちょうどいいところに。
三之助ー!聞きたいんだけど!
迷子になるのに、もしかして理由に心当たり、あったりする?
通りすがりの同輩のコメント
三之助:
迷子ぉ?おれ迷子になったことねえじゃん。それむしろおれがお前らに聞きたいん……げっ、作。
作兵衛:
んん〜?なぁんか今、聞き捨てならねぇセリフが聞こえたよ〜な気がするんだけどよぉ……?
うんうん、なんだって?そうかそうかぁ……。
さぁぁぁんんんのすけぇえええええ!!!!どの口が言いやがるァアアあああてめェごるぁああああ!!!
(以下、追いかけっこ勃発)
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