嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2014/10/28 [20:32:29] (Tue)
目が覚めたらな、目の前が肌色でした。
待てっっっ!!!解散すんな!続きあるから!つーかむしろそうだったら困る、すげー困るから!
まず前提として、俺は前夜に忍務についてて、けっこーボロボロになってた。
んで、燃料切れてぶっ倒れるって時に、でかい山犬見つけてよ。
つい反射で一瞬全力で威嚇したけど、まあ頭が良くて性格の良い奴でさ。
俺が全力の殺気浴びせても、逃げも怒りもしなかった。逆に労わるみたいに鼻寄せて顔舐めてきてよ。
お前、疲労困憊で限界の時に、でかくてフワッとしてて暖かい毛皮に包まれてみろよ……一瞬で寝落ちたわ。
いやー、たまあにああやって通りすがりの獣と仲良くなることあるけど、あんなでっかい山犬は初めてだったなー。
ん、まあつまり、俺は前日、山犬と一緒に寝てたんだ。オッケイ?
それがお前……はぁ??肌色ぉ!?
「はぇ?」
腕に感じるデカくてゴツいカタマリ……。
がっつり盛り上がった筋肉……。
女が騒ぎそうな、なんつーの、雄臭いイケメン面……。
歳は……いくつだろな。利吉さんよりちょい上か?
そう、男だ。……男だったんだよ……。
お前ら、どうよ。
目が覚めたら、そんな中々の偉丈夫を抱えてるみてーに寝てた自分がいたら。
俺は叫んだね。とりあえず。
「っは、あああああ!?」
思わずそいつの横っ腹蹴り飛ばして距離とった俺は悪くないよな?
いや、だって、びびるだろ!?
犬抱えて寝たと思ったら、朝起きたら、おま、男ってどういう事だよ!
「痛って、手前ぇ……」
その御仁は俺に蹴っ飛ばされた衝撃で起きたみたいでさ、ギロリって俺を睨んできたんだけどよ。
いやーその体つきったら見事なもんだったぜ。忍には不必要なもんだけど、武人としちゃ憧れるわ。鍛えられた体してたなあ。
でよ、俺も手負いだったし、いかにも怪しい者ですって言うような黒い忍び装束のままだしよ。顔に返り血も飛んでたし、誤魔化しようがねぇんだよな。
で、御仁はちょいとかぶいちゃいたが全体的にいい身なりしてて、腰にちょっと風変わりな形した小太刀まで下げててよ。
やっべこいつどっかの士族の若様か!?っていう。
撫で斬りにされっかも、とか思いながら身構えてたんだが……そんな俺を見てその御仁はまああっさり言い放ちやがってよ。
「昨夜は俺の毛皮にしがみついてた餓鬼が粋がりやがってよお」
……毛皮?
…………??け、けがわ???
えっ、イヤあんた毛皮ないよね?人間に毛皮ってないよな!?
思わずまじまじとそいつを見ちまったけど、その御仁小物は色々つけちゃいるが着流し一枚しか着てないんだぜ。手荷物もねえし、そもそも山ん中に居る格好じゃねえんだよ。
俺が訝しげにしてたのがわかったんだろうなあ。
御仁は「鈍い奴よ」って鼻で笑った。
ぶるり、って獣がする様に身震いしたそのあとには、
そこには山犬が居た。
……おいやめろ三郎、無言でデコに手当てんな。
雷蔵その心配そうな顔やめて地味に傷つく。
別に頭おかしくなったワケじゃねーから!最後まで聞けっつの!
にしてもい~い毛並みの山犬だったなあ。
銀鼠色の輝くような毛並みでよ、ぶっとい足とでっかい体でよ。惚れ惚れするような精悍なツラしててさ。
ああいうのは人間なんかにゃ絶対狩られねえんだ。力があって頭もある、群れの長の貫録だ。それもタダの長じゃねえ、滅多に見ない大物さ。
毛色と顔つきからして狼の血も入ってんだろうなあ。いや、いい犬だった。
そいつは驚いて目え剥いた俺をまた鼻で笑いやがって、あ?
えー犬だって猫だって馬だって笑うぜ?あいつら結構表情豊かだしよ。
あーとにかく鼻をフスンッて鳴らしたそいつは、これまたデカイ牙を剥き出しにする様ににやあって笑った。
ツラは怖かったけど、ありゃ面白がってたなあ。
はっ、と気付いたらそいつの牙が喉元に迫ってた。
速っ!?
て思いながら咄嗟に喉を腕で庇って――うん、腕持ってかれるって思ったな。あのデカさだ、俺の腕を食い千切るのなんか簡単だろ。
一瞬、そいつの金色の瞳と目があった。
と思ったら、ふっさふさの尻尾で顔引っ叩かれたわ。
俺も生物委員長えし、獣の速さにゃ慣れたつもりだったんだけどな。あいつは速さも別格だったわ。
とんでもねー奴だったよ。
尻尾にもふられて「ぶへっ」とか言ってる俺を笑うように一声鳴いて、そいつはさっさと森の奥に消えた。
はあ……からかわれたんだろうな。
もー、なあ。ポカーンとして見送っちまったよ。
あー、それでな、ちょっと相談なんだけど。
……そいつ、犬だと思う?……人だと思う?
いや重要だろ?!
自分よりでかい男を抱きしめて髪の毛に埋もれて心地良く寝てたのと、ふっさふさのでかい犬抱いて寝てたのとじゃ、色々!違うだろが!
なあどう思う!?お前らどう思う!?
えっでも俺の体、犬の毛だらけだし、獣くせえし、えっでも知らぬ間に簡単に手当てされてたんですけど!?手当てに使われてる布がどう見てもあの御仁の着物の切れ端なんですけどぉお!!
なああいつ、人だと思う!?犬だと思う!?
どうなんだよおおお!!
三郎:
普通に考えて、お前が寝てる間に入れ替わるだのなんだのしたんだろうが。落ち着けこの馬鹿。
……まあ、いくら怪我してて疲労困憊で熟睡してたとしても犬が動いたのに気付かないわけはないし、ハチが同一人物だと思ったんならそうなんだろうとは思うが。
前触れを必要としない勘働きといい気配への敏さといい、ハチは半分獣みたいなもんだからな。
そいつが人か狗かは知らんが……少なくとも尋常なモノではないだろ。
しかし気の良いのに当たって良かっただろうが、これで女だったりしたらお前、正体のよくわからんものを嫁に貰う羽目になってたかもしれないんだぞ。
自分の幸運に感謝しろ馬鹿。
目が覚めたらな、目の前が肌色でした。
待てっっっ!!!解散すんな!続きあるから!つーかむしろそうだったら困る、すげー困るから!
まず前提として、俺は前夜に忍務についてて、けっこーボロボロになってた。
んで、燃料切れてぶっ倒れるって時に、でかい山犬見つけてよ。
つい反射で一瞬全力で威嚇したけど、まあ頭が良くて性格の良い奴でさ。
俺が全力の殺気浴びせても、逃げも怒りもしなかった。逆に労わるみたいに鼻寄せて顔舐めてきてよ。
お前、疲労困憊で限界の時に、でかくてフワッとしてて暖かい毛皮に包まれてみろよ……一瞬で寝落ちたわ。
いやー、たまあにああやって通りすがりの獣と仲良くなることあるけど、あんなでっかい山犬は初めてだったなー。
ん、まあつまり、俺は前日、山犬と一緒に寝てたんだ。オッケイ?
それがお前……はぁ??肌色ぉ!?
「はぇ?」
腕に感じるデカくてゴツいカタマリ……。
がっつり盛り上がった筋肉……。
女が騒ぎそうな、なんつーの、雄臭いイケメン面……。
歳は……いくつだろな。利吉さんよりちょい上か?
そう、男だ。……男だったんだよ……。
お前ら、どうよ。
目が覚めたら、そんな中々の偉丈夫を抱えてるみてーに寝てた自分がいたら。
俺は叫んだね。とりあえず。
「っは、あああああ!?」
思わずそいつの横っ腹蹴り飛ばして距離とった俺は悪くないよな?
いや、だって、びびるだろ!?
犬抱えて寝たと思ったら、朝起きたら、おま、男ってどういう事だよ!
「痛って、手前ぇ……」
その御仁は俺に蹴っ飛ばされた衝撃で起きたみたいでさ、ギロリって俺を睨んできたんだけどよ。
いやーその体つきったら見事なもんだったぜ。忍には不必要なもんだけど、武人としちゃ憧れるわ。鍛えられた体してたなあ。
でよ、俺も手負いだったし、いかにも怪しい者ですって言うような黒い忍び装束のままだしよ。顔に返り血も飛んでたし、誤魔化しようがねぇんだよな。
で、御仁はちょいとかぶいちゃいたが全体的にいい身なりしてて、腰にちょっと風変わりな形した小太刀まで下げててよ。
やっべこいつどっかの士族の若様か!?っていう。
撫で斬りにされっかも、とか思いながら身構えてたんだが……そんな俺を見てその御仁はまああっさり言い放ちやがってよ。
「昨夜は俺の毛皮にしがみついてた餓鬼が粋がりやがってよお」
……毛皮?
…………??け、けがわ???
えっ、イヤあんた毛皮ないよね?人間に毛皮ってないよな!?
思わずまじまじとそいつを見ちまったけど、その御仁小物は色々つけちゃいるが着流し一枚しか着てないんだぜ。手荷物もねえし、そもそも山ん中に居る格好じゃねえんだよ。
俺が訝しげにしてたのがわかったんだろうなあ。
御仁は「鈍い奴よ」って鼻で笑った。
ぶるり、って獣がする様に身震いしたそのあとには、
そこには山犬が居た。
……おいやめろ三郎、無言でデコに手当てんな。
雷蔵その心配そうな顔やめて地味に傷つく。
別に頭おかしくなったワケじゃねーから!最後まで聞けっつの!
にしてもい~い毛並みの山犬だったなあ。
銀鼠色の輝くような毛並みでよ、ぶっとい足とでっかい体でよ。惚れ惚れするような精悍なツラしててさ。
ああいうのは人間なんかにゃ絶対狩られねえんだ。力があって頭もある、群れの長の貫録だ。それもタダの長じゃねえ、滅多に見ない大物さ。
毛色と顔つきからして狼の血も入ってんだろうなあ。いや、いい犬だった。
そいつは驚いて目え剥いた俺をまた鼻で笑いやがって、あ?
えー犬だって猫だって馬だって笑うぜ?あいつら結構表情豊かだしよ。
あーとにかく鼻をフスンッて鳴らしたそいつは、これまたデカイ牙を剥き出しにする様ににやあって笑った。
ツラは怖かったけど、ありゃ面白がってたなあ。
はっ、と気付いたらそいつの牙が喉元に迫ってた。
速っ!?
て思いながら咄嗟に喉を腕で庇って――うん、腕持ってかれるって思ったな。あのデカさだ、俺の腕を食い千切るのなんか簡単だろ。
一瞬、そいつの金色の瞳と目があった。
と思ったら、ふっさふさの尻尾で顔引っ叩かれたわ。
俺も生物委員長えし、獣の速さにゃ慣れたつもりだったんだけどな。あいつは速さも別格だったわ。
とんでもねー奴だったよ。
尻尾にもふられて「ぶへっ」とか言ってる俺を笑うように一声鳴いて、そいつはさっさと森の奥に消えた。
はあ……からかわれたんだろうな。
もー、なあ。ポカーンとして見送っちまったよ。
あー、それでな、ちょっと相談なんだけど。
……そいつ、犬だと思う?……人だと思う?
いや重要だろ?!
自分よりでかい男を抱きしめて髪の毛に埋もれて心地良く寝てたのと、ふっさふさのでかい犬抱いて寝てたのとじゃ、色々!違うだろが!
なあどう思う!?お前らどう思う!?
えっでも俺の体、犬の毛だらけだし、獣くせえし、えっでも知らぬ間に簡単に手当てされてたんですけど!?手当てに使われてる布がどう見てもあの御仁の着物の切れ端なんですけどぉお!!
なああいつ、人だと思う!?犬だと思う!?
どうなんだよおおお!!
三郎:
普通に考えて、お前が寝てる間に入れ替わるだのなんだのしたんだろうが。落ち着けこの馬鹿。
……まあ、いくら怪我してて疲労困憊で熟睡してたとしても犬が動いたのに気付かないわけはないし、ハチが同一人物だと思ったんならそうなんだろうとは思うが。
前触れを必要としない勘働きといい気配への敏さといい、ハチは半分獣みたいなもんだからな。
そいつが人か狗かは知らんが……少なくとも尋常なモノではないだろ。
しかし気の良いのに当たって良かっただろうが、これで女だったりしたらお前、正体のよくわからんものを嫁に貰う羽目になってたかもしれないんだぞ。
自分の幸運に感謝しろ馬鹿。
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