嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2014/07/11 [00:37:15] (Fri)
う~ん、うう~……ん?あ、数馬。
う~んそうなんだよ……あの人の行動ってば、いくら予習しても足りないよ~。
次々とこう、予想もつかないような事してくるからさぁ、いくらがんばってもおっつかないんだ。
例えばさあ、この間のことなんだけど。
道を歩いてたら、あ、もちろん学園内のね、小路。
そしたら、落とし穴を見つけたんだ。
そう、綾部先輩のだと思う。
というか、綾部先輩以外に道端に落とし穴作って放置してく人知らな……あ。
ごめん居た、僕の委員会の後輩、兵太夫もそういう子だった。
ごめんね数馬、ぼくには先輩と後輩を止める力はないんだ。だってあの人たちいくら予習しても止めらんないんだ……。
数馬、保健委員会にはいつも作法委員会がご迷惑をおかけしておりますって謝っといて。ついでに僕にはどうにもできませんって。
あ、それでその穴が、後輩じゃなくて綾部先輩のだって思った理由ね。
その穴、かなり深くてさ。
ええー先輩井戸でも掘ってるんですか?ってくらい深ぁあくて底が見えなくて。
兵太夫は一年生なんだけど、体の小さい一年には掘れないだろうなあ、っていう感じの穴だったんだよね。僕たちでも数人がかりじゃないと無理かもしれないなあ。
そう考えると、綾部先輩って凄いなっていつも思うよ。
ま、で、ぼくはその穴を見て、まず近くの木に縄を結びに行った。
前に、不用意に穴を覗き込んで、作業中の綾部先輩に穴に引きずり込まれた事があるんだ。
ぼくじゃ到底上がれないくらい深い穴で、綾部先輩と協力しないと上に出られなかったんだけど。
そこでね、綾部先輩は僕に「ここで一緒にサボろうよ」なんて言うんだ。
冗談じゃない!僕は立花先輩に言われて、委員会の時間になっても来ない綾部先輩を探してたところだったんだ!
それから、僕は学んだんだ。
自力で上がれなさそうな穴に近寄る時は、あらかじめ持っている縄の端っこをどっかに結び付けておく事を!
そうして準備を万全にした僕は、そうっと穴を覗き込んだ。
中に誰かいる気配があったから、不意打ちはないかな、と思ったんだけど、念のためさ。
え?綾部先輩?
気配消して足つかんでくることもあるし、話してる途中で裾ひっかけてくることもあるし、穴から上がる時に手を貸すとわざと重くしてくることもあるし。
この前なんか、穴の中にネズミかなんか放り込んで誰かいる気配を作っといて、僕が「綾部先ぱーい?」って穴を覗き込んだ時を見計らって後ろから「ばあ」って驚かしてきたんだよ!びっくりして落ちるところだったよ!
「危ないねえ」って支えてくれたけど、「綾部先輩のせいじゃないですか!」って言っちゃったよ。先輩、首傾げてたけど。
天然なフリしたって僕はごまかされないんだから!
ど、どうしたの数馬?涙ぐんで……たくましくなった?
うん?そう?なのかな。綾部先輩のための予習はこんなもんじゃないんだけど……。
まあね、日頃の予習を生かして、僕はそうっと穴を覗き込んで、「先輩?」って聞いてみた。
そしたら、すっごくか細い声がしたんだ。
「ぼう」
綾部先輩が突拍子もなく変な事口走るのは珍しい事じゃないんだけど、今まで聞いたことない声だったから、とりあえず聞き返してみた。
「先輩?」
「ぼぅ」
「もー、またこんな深い穴掘って。用具の人たちに怒られますよ」
「ぼぅ、ぼう」
「棒が欲しいんですか?持ってきます?」
「ぅん」
「分かりました、待ってて下さいね」
それで、一応穴の周りに目印置いてさ、用具倉庫に棒を借りに行ったんだ。ついでに用具委員の人に謝って穴埋めてもらおうと思って。
そしたらさ!綾部先輩、もう用具倉庫に居たんだよ!あの場所から最短距離を走ってきたはずなのに、綾部先輩に先回りされるなんて……僕も予習が足りないや。
ねえ数馬。一年の差って、大きいんだね。
びっくりして声かけたんだけど、なんか結局必要だったのは焙烙火矢だったらしくて。
悪い虫がナントカって言ってたから、穴に虫でも入ったんじゃないかな?不機嫌そうだったしね。
でも虫相手に焙烙火矢使うくらいなら、もっぱんとかさ、煙出る方がいいんじゃないですかって言ったんだけど。ほら、やっぱり虫退治には煙でいぶすのが常套手段だし?
そういや、数馬えげつないもっぱん作るの得意だよな。頼んでいいかな?
あっはっは~、まあまあいいじゃんか、あの三之助をして数馬のもっぱんからは逃げるしかない、って言わせたんだし。自信持てって!
それにしてもさぁ、用具委員の、食満先輩にさ、落とし穴の位置教えて、頭下げて後をお願いしたんだけどさ。
次の日かな、場所が分かんないから教えてくれって言われてさ。目印も置いておいたし、分からないってことはないと思うんだけど、僕の説明が分かりにくかったのかと思って、直接案内したんだ。
そしたらね……。はあ、食満先輩が分かんなかったのも頷けるよ。
僕が目印置いといた場所にね、でーん!とデッカイ岩があったんだ。
もちろん、穴なんてない。
どころか、穴があった痕跡……土を掘り返した跡だとか、そういうのが全然なかったんだ。
こんな完璧に何もなかった事にできるのは、一人しかいない。
そう、確実に綾部先輩の仕業だ……!
もーなんか、わざわざ来てもらった食満先輩に申し訳なくってさ、もー!
平身低頭で謝ったよ……。
食満先輩は笑って許してくれたけど、何か引っかかるというか、気になるみたいで、綾部先輩に話を聞いとくって言ってたなあ。
僕は、綾部先輩が本当にすみません……て言いながら見送るしかできなかったよ……。
綾部先輩、もう少し大人しくしてくれないかなあ……。あと兵太夫も……。
綾部:
おや、まあ。気付かなかったよ。
トシ子ちゃんやターコちゃんといつも仲良くしてる子だね。今後も末永くよろしく頼むよ。
……そうだねぇ、アヒル先輩も気付いていたようだけれど。あれは、落とし穴なんかじゃあ、なかったようだね。
さあ?わたしは知らないよ。わたしはタコ壺も落とし穴も作るけれど、あれは作った覚えがないしねえ。
藤内には、穴の中にいるものに声をかけるもんじゃない、って言っておいた筈なのだけど。
そうやってサボる気でしょう!なあんて言われちゃうと、まあその通りなものだからね。難しいねぇ。
あぁ、君も穴の中の住人(仮)なんだっけ。
穴の中じゃあ、隣人にはよくよく気を付けておきなよ。
もっぱんだっけ?それ、君も持っておいた方が良いんじゃないの。
じゃあ、ターコちゃんやトシ子ちゃんに悪い虫がつかないよう、くれぐれもよろしく頼んだよ。
う~ん、うう~……ん?あ、数馬。
う~んそうなんだよ……あの人の行動ってば、いくら予習しても足りないよ~。
次々とこう、予想もつかないような事してくるからさぁ、いくらがんばってもおっつかないんだ。
例えばさあ、この間のことなんだけど。
道を歩いてたら、あ、もちろん学園内のね、小路。
そしたら、落とし穴を見つけたんだ。
そう、綾部先輩のだと思う。
というか、綾部先輩以外に道端に落とし穴作って放置してく人知らな……あ。
ごめん居た、僕の委員会の後輩、兵太夫もそういう子だった。
ごめんね数馬、ぼくには先輩と後輩を止める力はないんだ。だってあの人たちいくら予習しても止めらんないんだ……。
数馬、保健委員会にはいつも作法委員会がご迷惑をおかけしておりますって謝っといて。ついでに僕にはどうにもできませんって。
あ、それでその穴が、後輩じゃなくて綾部先輩のだって思った理由ね。
その穴、かなり深くてさ。
ええー先輩井戸でも掘ってるんですか?ってくらい深ぁあくて底が見えなくて。
兵太夫は一年生なんだけど、体の小さい一年には掘れないだろうなあ、っていう感じの穴だったんだよね。僕たちでも数人がかりじゃないと無理かもしれないなあ。
そう考えると、綾部先輩って凄いなっていつも思うよ。
ま、で、ぼくはその穴を見て、まず近くの木に縄を結びに行った。
前に、不用意に穴を覗き込んで、作業中の綾部先輩に穴に引きずり込まれた事があるんだ。
ぼくじゃ到底上がれないくらい深い穴で、綾部先輩と協力しないと上に出られなかったんだけど。
そこでね、綾部先輩は僕に「ここで一緒にサボろうよ」なんて言うんだ。
冗談じゃない!僕は立花先輩に言われて、委員会の時間になっても来ない綾部先輩を探してたところだったんだ!
それから、僕は学んだんだ。
自力で上がれなさそうな穴に近寄る時は、あらかじめ持っている縄の端っこをどっかに結び付けておく事を!
そうして準備を万全にした僕は、そうっと穴を覗き込んだ。
中に誰かいる気配があったから、不意打ちはないかな、と思ったんだけど、念のためさ。
え?綾部先輩?
気配消して足つかんでくることもあるし、話してる途中で裾ひっかけてくることもあるし、穴から上がる時に手を貸すとわざと重くしてくることもあるし。
この前なんか、穴の中にネズミかなんか放り込んで誰かいる気配を作っといて、僕が「綾部先ぱーい?」って穴を覗き込んだ時を見計らって後ろから「ばあ」って驚かしてきたんだよ!びっくりして落ちるところだったよ!
「危ないねえ」って支えてくれたけど、「綾部先輩のせいじゃないですか!」って言っちゃったよ。先輩、首傾げてたけど。
天然なフリしたって僕はごまかされないんだから!
ど、どうしたの数馬?涙ぐんで……たくましくなった?
うん?そう?なのかな。綾部先輩のための予習はこんなもんじゃないんだけど……。
まあね、日頃の予習を生かして、僕はそうっと穴を覗き込んで、「先輩?」って聞いてみた。
そしたら、すっごくか細い声がしたんだ。
「ぼう」
綾部先輩が突拍子もなく変な事口走るのは珍しい事じゃないんだけど、今まで聞いたことない声だったから、とりあえず聞き返してみた。
「先輩?」
「ぼぅ」
「もー、またこんな深い穴掘って。用具の人たちに怒られますよ」
「ぼぅ、ぼう」
「棒が欲しいんですか?持ってきます?」
「ぅん」
「分かりました、待ってて下さいね」
それで、一応穴の周りに目印置いてさ、用具倉庫に棒を借りに行ったんだ。ついでに用具委員の人に謝って穴埋めてもらおうと思って。
そしたらさ!綾部先輩、もう用具倉庫に居たんだよ!あの場所から最短距離を走ってきたはずなのに、綾部先輩に先回りされるなんて……僕も予習が足りないや。
ねえ数馬。一年の差って、大きいんだね。
びっくりして声かけたんだけど、なんか結局必要だったのは焙烙火矢だったらしくて。
悪い虫がナントカって言ってたから、穴に虫でも入ったんじゃないかな?不機嫌そうだったしね。
でも虫相手に焙烙火矢使うくらいなら、もっぱんとかさ、煙出る方がいいんじゃないですかって言ったんだけど。ほら、やっぱり虫退治には煙でいぶすのが常套手段だし?
そういや、数馬えげつないもっぱん作るの得意だよな。頼んでいいかな?
あっはっは~、まあまあいいじゃんか、あの三之助をして数馬のもっぱんからは逃げるしかない、って言わせたんだし。自信持てって!
それにしてもさぁ、用具委員の、食満先輩にさ、落とし穴の位置教えて、頭下げて後をお願いしたんだけどさ。
次の日かな、場所が分かんないから教えてくれって言われてさ。目印も置いておいたし、分からないってことはないと思うんだけど、僕の説明が分かりにくかったのかと思って、直接案内したんだ。
そしたらね……。はあ、食満先輩が分かんなかったのも頷けるよ。
僕が目印置いといた場所にね、でーん!とデッカイ岩があったんだ。
もちろん、穴なんてない。
どころか、穴があった痕跡……土を掘り返した跡だとか、そういうのが全然なかったんだ。
こんな完璧に何もなかった事にできるのは、一人しかいない。
そう、確実に綾部先輩の仕業だ……!
もーなんか、わざわざ来てもらった食満先輩に申し訳なくってさ、もー!
平身低頭で謝ったよ……。
食満先輩は笑って許してくれたけど、何か引っかかるというか、気になるみたいで、綾部先輩に話を聞いとくって言ってたなあ。
僕は、綾部先輩が本当にすみません……て言いながら見送るしかできなかったよ……。
綾部先輩、もう少し大人しくしてくれないかなあ……。あと兵太夫も……。
綾部:
おや、まあ。気付かなかったよ。
トシ子ちゃんやターコちゃんといつも仲良くしてる子だね。今後も末永くよろしく頼むよ。
……そうだねぇ、アヒル先輩も気付いていたようだけれど。あれは、落とし穴なんかじゃあ、なかったようだね。
さあ?わたしは知らないよ。わたしはタコ壺も落とし穴も作るけれど、あれは作った覚えがないしねえ。
藤内には、穴の中にいるものに声をかけるもんじゃない、って言っておいた筈なのだけど。
そうやってサボる気でしょう!なあんて言われちゃうと、まあその通りなものだからね。難しいねぇ。
あぁ、君も穴の中の住人(仮)なんだっけ。
穴の中じゃあ、隣人にはよくよく気を付けておきなよ。
もっぱんだっけ?それ、君も持っておいた方が良いんじゃないの。
じゃあ、ターコちゃんやトシ子ちゃんに悪い虫がつかないよう、くれぐれもよろしく頼んだよ。
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