嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2015/09/23 [21:53:13] (Wed)
うん?ううん……なんでって言われても……うーん、あのね、そのねえ。
ここのところ、ずぅっとヘンな夢見ててさ。
笑わないでよ?
夢でね、女の子が泣いてるんだ。
まっくらな場所で、女の子の泣き声だけが、しくしく、しくしく、って聞こえてくる夢だったんだ。
それでね、まあ別に怖い感じはしなかったし。女の子がしくしく泣いてたら、どうしたんだろう、って思うじゃない。
え、あ、あはは、ま、まあくのたまは普通の女の子と一緒にしちゃいけないと思うよ庄ちゃん。
そうだよ。ふつうの女の子はね、泣きマネで人をおびき寄せるとかしないからね。くのたまを女子と思うなって誰だか言ってたじゃん。……くのたまの前じゃ口が裂けても言えないけど!
ええ、ええと、それでね。
その、夢の中の女の子に声をかけようとしたんだけど、夢だしさ、声でなかったんだよね。
女の子の泣き声を聞きながら起きるとさ、やっぱり、なんだかこうあんまり爽やかな気分になれないっていうか……。
そう、ここ最近寝起き悪かったのはこのせいなんだ……心配掛けてごめんね庄ちゃん。庄ちゃんにも迷惑かかってるし、もっかいいっしょにいく?
そう?残念だなあ、庄ちゃんのお説教って土井先生ばりに効くのになあ。
女の子の泣き声は、日に日に……といっても、夢を見てたのは十日くらいだったんだけどね。
日に日に、泣いてるだけじゃなくなってきててね。何か訴えるみたいにさ、悲しそうな声を上げるんだ。
『助けて……かえして……ここから出して……』
『おねがい、帰りたい、おうちに帰りたい』
それがあんまり悲しそうで、ぼくもちょっとどんよりしちゃってた。
あの女の子は何を悲しんでるんだろう、かえしてってどういう事なんだろう?
ずっとそう考えてたせいであんまり授業にも身が入らなくって、土井先生に怒られちゃったなあ。
その、かえしてって言葉が聞こえた日から、ちょっとずつ言う事が増えてきてね。
『こんなところはいや……いや、汚い、帰りたい……』
『たすけて、私を見つけて、苦しい……』
女の子がすごく苦しそうな声しててさ、ぼくまで苦しくなったような気がしたなあ。
……え?あ、そうなんだ……そんなにぼく、顔色悪かったかなあ……ううん、女装実習の時じゃないと鏡とか見ないからなあ、自分じゃわかんないや。
でも、はい、ご心配おかけしました。
でね、ホラ、例の日。
よく眠れてなかったから、昼休みお昼寝してたの。
そしたら、また、あの女の子の声がしたんだ。
『うぅ、重い……重いよう……体が折れちゃう』
『臭いの……暗いの、助けて……』
その時はね、なんだか体がすごく重くて、ぎゅうぎゅう押されてる感じがしてさ。
なんでだか、女の子が感じてる苦しみを一緒に感じてるんだなってわかった。
だから、心の中でどうしたの、どこにいるの、どうすればいいの、って叫んでたんだ。
聞こえてないことはわかってたんだけど……あんまり、かわいそうで、さ。
そしたら、そうしたらね、庄ちゃん。
また女の子の声が聞こえてきたんだ。
だけど、それだけじゃなくてさ。
『おねがい、くさい、掃除して……つぶれちゃう……いや……』
プゥン……てただよってきたのが、どっかでイヤってほどかいだ、くっっっさいニオイ……。
それから聞こえてきた、めっちゃくちゃ聞きおぼえのある寝ボケ声……!
『しょうせいさぁん……ムニャ……』
『ぇへへ……かっとばせぇ……のーこーそくごぉ……へへ……』
あのさ。
僕ね?
言ったよね??
掃 除 し ろ っ て 言 っ た よ ね ????
もう、もうさあ、もおおおおおおあいつらぁああああああああ!!!!
起きてすぐ団蔵と虎若の部屋行ったよ、そしたら、もう聞いてよ庄ちゃん!
え?見てた?ならわかるでしょあいつらの部屋、部屋っもおおおきったないっったら!!!
山盛りの洗濯物!散らばった紙ゴミ、開けっ放しのつづら!なんかよくわかんない石ころとかセミの抜け殻!なんか腐ったようなニオイと部屋の隅に生えたキノコ!
すぐあいつら呼び出して掃除させたよもう!もーあいつら何回いえばおぼえるの!?
うー、ごめん……落ちつく。はい。
そう、それでさ、その女の子の声が何かってことだよね。
たぶんだけど……。
ゴミ溜めの中から、古い紙人形が見つかったんだ。
そう、この間の女装実習の時にさ、女の子遊びの資料だって、吉野先生から借りてたやつ。千代紙のおべべ着たきれいなやつだよ。
きちんと直して用具倉庫に返したけど、もう……はあ、あいつらさぁ……。吉野先生にこってりしぼられたみたいだけど……はあ。
頭いたいよホント……。
……ん、うーん、それがね……。いや、ぼくだって、何もなかったら紙人形が原因だとは思わないよ。
あれ以来、その……紙人形ね。
吉野先生は、誰にも貸し出してませんよ、って言うんだけど……。
時々、見かけるんだよ。
たいていが、探し物……あ、本を探してるときがほとんどなんだけどさ。
ぼくが探してた本にはさまってるんだよね、その紙人形。
本棚からぴょこんって千代紙のべべとか、頭が突き出てるんだ。
探し物のときすごく助かるけど、うーん……。
ちょっと怖いけど、恩返しのつもり?……なのかなぁ……?
どう思う庄ちゃん?
同室のコメント
黒木庄左ヱ門:
うーん、まだ問題ないなら大丈夫かなと思うけど……金楽寺の御坊さんに話してみるとか、ちょっと誰かの意見が欲しいところだね。ちょっと調べてみるよ。
え?頼りになる?そう?ありがと、でも普通だと思うけどなぁ。
っふふ、そういえばあの時の伊助はすごかったね。え?いやだって……
『汚部屋は消毒だああああああああ!!!!』
『いやあああああ伊助さまあああごかんべんをおおおおお!!』
『お前らあれほど掃除しろっつったろーが!なんなのこの洗濯物とゴミの山!もういっそ全部捨てたろかー!』
『ぎゃあああああかあちゃんそれだけはゆるしてえええええ!』
『だれが母ちゃんだ!』
っていう感じだったじゃない。
ふーむ?ふふ、そういう事にしとこうか。ね。
委員会の先輩のコメント
久々知兵助:
伊助……!是非その彼女を俺に紹介して欲しいのだ……!
他の上級生に知られたらあっという間に掻っ攫われてしまう、その前にその親切で気の利く彼女と知り合いになっておきたいのだぁ。
……う、あのな、伊助、これは秘密なんだが。
……上級生になると、課題ひとつこなすにも、資料の本を巡った競争が起こる事があるのだ。
いち早く必要な資料を見つける事ができれば、どれだけ早く課題をこなせる事か……!
まあ、必要な資料を手に入れる為に策を巡らせるのも課題のうちなんだけどな。ろ組の双忍を一度出し抜いてみたいと常々勘ちゃんと話して……いや、何でもないのだぁ。
ここのところ、ずぅっとヘンな夢見ててさ。
笑わないでよ?
夢でね、女の子が泣いてるんだ。
まっくらな場所で、女の子の泣き声だけが、しくしく、しくしく、って聞こえてくる夢だったんだ。
それでね、まあ別に怖い感じはしなかったし。女の子がしくしく泣いてたら、どうしたんだろう、って思うじゃない。
え、あ、あはは、ま、まあくのたまは普通の女の子と一緒にしちゃいけないと思うよ庄ちゃん。
そうだよ。ふつうの女の子はね、泣きマネで人をおびき寄せるとかしないからね。くのたまを女子と思うなって誰だか言ってたじゃん。……くのたまの前じゃ口が裂けても言えないけど!
ええ、ええと、それでね。
その、夢の中の女の子に声をかけようとしたんだけど、夢だしさ、声でなかったんだよね。
女の子の泣き声を聞きながら起きるとさ、やっぱり、なんだかこうあんまり爽やかな気分になれないっていうか……。
そう、ここ最近寝起き悪かったのはこのせいなんだ……心配掛けてごめんね庄ちゃん。庄ちゃんにも迷惑かかってるし、もっかいいっしょにいく?
そう?残念だなあ、庄ちゃんのお説教って土井先生ばりに効くのになあ。
女の子の泣き声は、日に日に……といっても、夢を見てたのは十日くらいだったんだけどね。
日に日に、泣いてるだけじゃなくなってきててね。何か訴えるみたいにさ、悲しそうな声を上げるんだ。
『助けて……かえして……ここから出して……』
『おねがい、帰りたい、おうちに帰りたい』
それがあんまり悲しそうで、ぼくもちょっとどんよりしちゃってた。
あの女の子は何を悲しんでるんだろう、かえしてってどういう事なんだろう?
ずっとそう考えてたせいであんまり授業にも身が入らなくって、土井先生に怒られちゃったなあ。
その、かえしてって言葉が聞こえた日から、ちょっとずつ言う事が増えてきてね。
『こんなところはいや……いや、汚い、帰りたい……』
『たすけて、私を見つけて、苦しい……』
女の子がすごく苦しそうな声しててさ、ぼくまで苦しくなったような気がしたなあ。
……え?あ、そうなんだ……そんなにぼく、顔色悪かったかなあ……ううん、女装実習の時じゃないと鏡とか見ないからなあ、自分じゃわかんないや。
でも、はい、ご心配おかけしました。
でね、ホラ、例の日。
よく眠れてなかったから、昼休みお昼寝してたの。
そしたら、また、あの女の子の声がしたんだ。
『うぅ、重い……重いよう……体が折れちゃう』
『臭いの……暗いの、助けて……』
その時はね、なんだか体がすごく重くて、ぎゅうぎゅう押されてる感じがしてさ。
なんでだか、女の子が感じてる苦しみを一緒に感じてるんだなってわかった。
だから、心の中でどうしたの、どこにいるの、どうすればいいの、って叫んでたんだ。
聞こえてないことはわかってたんだけど……あんまり、かわいそうで、さ。
そしたら、そうしたらね、庄ちゃん。
また女の子の声が聞こえてきたんだ。
だけど、それだけじゃなくてさ。
『おねがい、くさい、掃除して……つぶれちゃう……いや……』
プゥン……てただよってきたのが、どっかでイヤってほどかいだ、くっっっさいニオイ……。
それから聞こえてきた、めっちゃくちゃ聞きおぼえのある寝ボケ声……!
『しょうせいさぁん……ムニャ……』
『ぇへへ……かっとばせぇ……のーこーそくごぉ……へへ……』
あのさ。
僕ね?
言ったよね??
掃 除 し ろ っ て 言 っ た よ ね ????
もう、もうさあ、もおおおおおおあいつらぁああああああああ!!!!
起きてすぐ団蔵と虎若の部屋行ったよ、そしたら、もう聞いてよ庄ちゃん!
え?見てた?ならわかるでしょあいつらの部屋、部屋っもおおおきったないっったら!!!
山盛りの洗濯物!散らばった紙ゴミ、開けっ放しのつづら!なんかよくわかんない石ころとかセミの抜け殻!なんか腐ったようなニオイと部屋の隅に生えたキノコ!
すぐあいつら呼び出して掃除させたよもう!もーあいつら何回いえばおぼえるの!?
うー、ごめん……落ちつく。はい。
そう、それでさ、その女の子の声が何かってことだよね。
たぶんだけど……。
ゴミ溜めの中から、古い紙人形が見つかったんだ。
そう、この間の女装実習の時にさ、女の子遊びの資料だって、吉野先生から借りてたやつ。千代紙のおべべ着たきれいなやつだよ。
きちんと直して用具倉庫に返したけど、もう……はあ、あいつらさぁ……。吉野先生にこってりしぼられたみたいだけど……はあ。
頭いたいよホント……。
……ん、うーん、それがね……。いや、ぼくだって、何もなかったら紙人形が原因だとは思わないよ。
あれ以来、その……紙人形ね。
吉野先生は、誰にも貸し出してませんよ、って言うんだけど……。
時々、見かけるんだよ。
たいていが、探し物……あ、本を探してるときがほとんどなんだけどさ。
ぼくが探してた本にはさまってるんだよね、その紙人形。
本棚からぴょこんって千代紙のべべとか、頭が突き出てるんだ。
探し物のときすごく助かるけど、うーん……。
ちょっと怖いけど、恩返しのつもり?……なのかなぁ……?
どう思う庄ちゃん?
同室のコメント
黒木庄左ヱ門:
うーん、まだ問題ないなら大丈夫かなと思うけど……金楽寺の御坊さんに話してみるとか、ちょっと誰かの意見が欲しいところだね。ちょっと調べてみるよ。
え?頼りになる?そう?ありがと、でも普通だと思うけどなぁ。
っふふ、そういえばあの時の伊助はすごかったね。え?いやだって……
『汚部屋は消毒だああああああああ!!!!』
『いやあああああ伊助さまあああごかんべんをおおおおお!!』
『お前らあれほど掃除しろっつったろーが!なんなのこの洗濯物とゴミの山!もういっそ全部捨てたろかー!』
『ぎゃあああああかあちゃんそれだけはゆるしてえええええ!』
『だれが母ちゃんだ!』
っていう感じだったじゃない。
ふーむ?ふふ、そういう事にしとこうか。ね。
委員会の先輩のコメント
久々知兵助:
伊助……!是非その彼女を俺に紹介して欲しいのだ……!
他の上級生に知られたらあっという間に掻っ攫われてしまう、その前にその親切で気の利く彼女と知り合いになっておきたいのだぁ。
……う、あのな、伊助、これは秘密なんだが。
……上級生になると、課題ひとつこなすにも、資料の本を巡った競争が起こる事があるのだ。
いち早く必要な資料を見つける事ができれば、どれだけ早く課題をこなせる事か……!
まあ、必要な資料を手に入れる為に策を巡らせるのも課題のうちなんだけどな。ろ組の双忍を一度出し抜いてみたいと常々勘ちゃんと話して……いや、何でもないのだぁ。
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