嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2017/06/12 [00:49:29] (Mon)
あ、ぼくはあるぞ。
化かされた話だろ?そんな派手じゃないけどな。
去年の夏だったかな、一人でおつかい行ってた時だ。
お天道さんもほぼ真上、怪しいものなんてこれっぽちも見当たらないような、よーく晴れた日だったんだよなぁ。
場所は……まあ、伏せさせてくれ。……学園長先生のおつかいだったんだよ。隠すようなおつかいじゃなかったと思うけど、うーん、いちおう、な。
でそのおつかいの最中、田んぼのあぜ道を歩いてたときのことだ。
前の方から、小石が転がるような音が聞こえてきた。
それをきいて、動物が小石を蹴ったのかな、なんて思ってたんだ。
あたりいちめん田んぼだったから、見晴らしはすこぶる良かったし。……いま考えてみたら、晴れの日なんだし、畑仕事してるお百姓さんの一人もいないってのはおかしかったかもしれないな。というかそれくらいは思いつくべきだった。
うん、まあぼくもぴよぴよの一年生だったわけだ。
でも、まあそのときは本当にひとっこ一人見当たらなくて、だったらウサギかキツネかタヌキか……って考えるのは自然なことだろ?
まー数分後にその考えはひっくり返されたんだけどな。
焦らすなって?何がいたかって、あーそうだな。待て、順を追って話すから。ぼくにもなんだかよくわかってないし。
ぼくは顔を上げた。イノシシとかだったら逃げなきゃマズイしな。石を蹴ったやつを確認しようと思ったんだ。
ところがそこには、何もいなかったんだ。
手のひらより小さい石が、ひとりでに転がっては止まり、転がっては止まりして、ぼくの隣を通りすぎて行った。
何が起きてるのかちょっとわからなくて、思わず見送ったよ。
まるで誰かが石蹴りして遊んでるみたいなかんじだったんだ。
けど、どんなに目をこすってもそこに人なんていなかった。
転がっては止まり、転がっては止まりする、石だけ、しか。
ぱっかんと口開けてそれを見送ってたら、急にどんっと胸を突っ飛ばされた。
ああ、それもだ。
目の前にゃなんにもいないのに、とつぜん突き飛ばされたんだ。わけわかんねーよ。
本当にとつぜんだったんで受身もとれなくて、盛大にすっ転んでさ、尻もちついたぼくに、真上から声がふってきた。
キャッハハハ!
あ〜あの小バカにした笑い声いま思い出しても腹立つ。
そのとき手のひらもハデに擦りむいてさ〜……ああ〜むかつく〜。
うん、子供の声だったな。だあら笑われたとたんカッと頭に血がのぼっちまってさ。いや、同い年くらいかってとっさに思ったんだよ。
「ばっバッカにすんなよっ!!誰だ!!」
怒鳴ったけど、まあ、子供だしな。迫力なんてなかったと思うぜ。
実際、そいつはキャハキャハ笑いながら遠ざかっていったし。
いや、さすがに得体の知れないものを怒りのまま追っかけてくほどアホじゃないだろ。どこぞのは組じゃあるまいし。
地味だけど、まあ化かされたっていやあ化かされた話っていうか。こんなかんじの事もあったよ。
よく我慢したって?いやだからな、さっきも言ったけどアホのは組でもそこまでの無鉄砲野郎はいないと思うぞ。
……次に遭ったら絶対にもっぱんのひとつやふたつクリーンヒットさせてやる、くらいは思ってるけどな。
漏れ聞いた先生のコメント
土井:
去年……田んぼの広がる地域……っていうと、あの辺は収穫期にひどい山火事に見舞われたんでしたっけね。そこいらへんの百姓さんは気の毒でしたが……。
なんでも、そのときに奇妙なものを見たと証言する人が多くて、付け火だという噂が……って松千代先生隠れないでくださいよ!
え?ああ、えーと確か、燃える案山子が延々と大岩を蹴り転がしてたとか……付け火にしてもなんだか派手な演出ですよねぇ。
何者かの企みの一部ではと、学園にも調査依頼が……って松千代先生あの、私に隠れないでフツーに歩いていただけませんかね……?
あ、ぼくはあるぞ。
化かされた話だろ?そんな派手じゃないけどな。
去年の夏だったかな、一人でおつかい行ってた時だ。
お天道さんもほぼ真上、怪しいものなんてこれっぽちも見当たらないような、よーく晴れた日だったんだよなぁ。
場所は……まあ、伏せさせてくれ。……学園長先生のおつかいだったんだよ。隠すようなおつかいじゃなかったと思うけど、うーん、いちおう、な。
でそのおつかいの最中、田んぼのあぜ道を歩いてたときのことだ。
前の方から、小石が転がるような音が聞こえてきた。
それをきいて、動物が小石を蹴ったのかな、なんて思ってたんだ。
あたりいちめん田んぼだったから、見晴らしはすこぶる良かったし。……いま考えてみたら、晴れの日なんだし、畑仕事してるお百姓さんの一人もいないってのはおかしかったかもしれないな。というかそれくらいは思いつくべきだった。
うん、まあぼくもぴよぴよの一年生だったわけだ。
でも、まあそのときは本当にひとっこ一人見当たらなくて、だったらウサギかキツネかタヌキか……って考えるのは自然なことだろ?
まー数分後にその考えはひっくり返されたんだけどな。
焦らすなって?何がいたかって、あーそうだな。待て、順を追って話すから。ぼくにもなんだかよくわかってないし。
ぼくは顔を上げた。イノシシとかだったら逃げなきゃマズイしな。石を蹴ったやつを確認しようと思ったんだ。
ところがそこには、何もいなかったんだ。
手のひらより小さい石が、ひとりでに転がっては止まり、転がっては止まりして、ぼくの隣を通りすぎて行った。
何が起きてるのかちょっとわからなくて、思わず見送ったよ。
まるで誰かが石蹴りして遊んでるみたいなかんじだったんだ。
けど、どんなに目をこすってもそこに人なんていなかった。
転がっては止まり、転がっては止まりする、石だけ、しか。
ぱっかんと口開けてそれを見送ってたら、急にどんっと胸を突っ飛ばされた。
ああ、それもだ。
目の前にゃなんにもいないのに、とつぜん突き飛ばされたんだ。わけわかんねーよ。
本当にとつぜんだったんで受身もとれなくて、盛大にすっ転んでさ、尻もちついたぼくに、真上から声がふってきた。
キャッハハハ!
あ〜あの小バカにした笑い声いま思い出しても腹立つ。
そのとき手のひらもハデに擦りむいてさ〜……ああ〜むかつく〜。
うん、子供の声だったな。だあら笑われたとたんカッと頭に血がのぼっちまってさ。いや、同い年くらいかってとっさに思ったんだよ。
「ばっバッカにすんなよっ!!誰だ!!」
怒鳴ったけど、まあ、子供だしな。迫力なんてなかったと思うぜ。
実際、そいつはキャハキャハ笑いながら遠ざかっていったし。
いや、さすがに得体の知れないものを怒りのまま追っかけてくほどアホじゃないだろ。どこぞのは組じゃあるまいし。
地味だけど、まあ化かされたっていやあ化かされた話っていうか。こんなかんじの事もあったよ。
よく我慢したって?いやだからな、さっきも言ったけどアホのは組でもそこまでの無鉄砲野郎はいないと思うぞ。
……次に遭ったら絶対にもっぱんのひとつやふたつクリーンヒットさせてやる、くらいは思ってるけどな。
漏れ聞いた先生のコメント
土井:
去年……田んぼの広がる地域……っていうと、あの辺は収穫期にひどい山火事に見舞われたんでしたっけね。そこいらへんの百姓さんは気の毒でしたが……。
なんでも、そのときに奇妙なものを見たと証言する人が多くて、付け火だという噂が……って松千代先生隠れないでくださいよ!
え?ああ、えーと確か、燃える案山子が延々と大岩を蹴り転がしてたとか……付け火にしてもなんだか派手な演出ですよねぇ。
何者かの企みの一部ではと、学園にも調査依頼が……って松千代先生あの、私に隠れないでフツーに歩いていただけませんかね……?
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