嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2013/09/18 [21:35:17] (Wed)
すみません土井先生、起き上がれるようになったらすぐ出ますから。
看病までさせてしまって申し訳ない。
ハハ……ちょっと油断して、氷の張った海で寒中水泳する羽目になっちゃいましてね。
……そうですね、正直かなりの遠泳でしたし、風邪ですんだだけいいのかもしれません。
あっ……と、きり丸くん、アルバイトは良いのかい。
うん……そう?ハハハ……とりあえず虫の入っていない料理ならなんでもいいよ。
ん?うーんちょっと仕事でね……ああ、いいですよ土井先生。
話せる範囲の事ですし、きり丸くんはちょっと無鉄砲なところがあるみたいだしなぁ。教訓にしてくれると嬉しいね。
今回、私はとある船の積み荷に用があって、雇われ水夫に変装して潜入していたんですよ。
板一枚下は地獄の釜だとうそぶく連中も少なくない――船、海というものは逃げ場がありません。なるべくなら陸で事を済ませたかったんですが、今回はどうにも仕様がなくて。
まあ、どうにも仕様がないことを何とかするのが忍者の仕事なんですが……。
夜、こっそり積み荷に細工をしていた時のことです。
ぴちゃん、ぱしゃんと小さな水音が聞こえたんです。
ええ、そりゃ海ですから、波の音は始終聞こえます。船に波が打ちつける音も。
ですが、それとは違う……何かが船の横腹を叩いているような、そんな音だったんですよ。
「おう、どうした。しょんべんかぁ?」
夜番の男が声をかけてくるのへ適当に挨拶を返して、船縁を見に行きました。
夜番の男は気付いてないようでしたが、船縁の向こう側がね、ぼんやり光ってたんですよ。
最初は、これが話に聞く光るイカか、と思ったんですよ。クラゲとかも光るらしいですね。
とても美しいと聞いていたので、興味がわいてよく見てみようと目を凝らしたところ……それは、イカでもクラゲでもなく。
ぴたん、ぺちゃんと木板を叩く、それは何匹ものヒトデでした。
ヒトデはご存知ですか、えぇ、漢字でこう……『人手』と書くんです。
形は、そうですねぇ、刃が五本ある手裏剣のような……。生き物ですからウネウネ動きますが、ナメクジとか亀のように動きは遅いです。
海底に張り付いているのを見ると、パッと見は花みたいなんですが……。
た、食べられるか?きり丸くん、逞しいね……。残念だけど、漁師に言わせると食えたもんじゃないらしい。商品化は諦めた方が良いと思うよ。
ヒトデは淡く緑色に発光しながら、ぴたん、ぱちゃんとただひたすら木板を撫でたり叩いたりしていました。寒風に耐えてずっと観察していたんですが、正直特に害があるようにも思えなかったんですよ。
放っておいて船室に戻ったんですが……まあ、この時点で騒ぎを起こしたくないというのもありましたからね。他の水夫に話す事もしませんでした。
今から思えば話しておいた方が良かったのかもしれませんが……。
細工が仕上がるのは早くても次の日だったので、次の夜にでも騒ぎを起こして、積み荷をどうにかしようと思っていたんですよ。
結論から言うと、全て無駄になりました。
……無駄どころか、事態を悪化させてしまったんですよね~ハハハ……はあ。
次の日の夜。
皆が寝静まった頃、雨の音が聞こえてきました。
これは機が巡ってきたか、そう思ってそっと積み荷のところへ忍んで行ったんですが……おかしなことに、音はするのに雨が降っていないんです。
おまけに外も妙に明るい……雨なら、月も星も隠れている筈ですよね。
おかしい、そう思って、また船縁を見に行きました。
そうしたらもう、息を呑みましたよ。
船縁が燃えているのかと思う程、明るく、薄緑色に光っているんです。
前の夜のヒトデと同じ光り方だと、すぐに察しがつきました。
しかし前日と違うのは――舟の周りを、ぐるっとその光が取り巻いているということでした。
そして、舟の周り中から板を叩く音が……、……てっきり雨粒が舟を叩いている音かと思ったんですけどね。
思わず気配を殺しながらそっと覗いてみた海は、圧巻の一言でした。
何十、何百ものヒトデがびちゃんぼちゃんと水音を立てながら、まるで強請る様に舟を叩いていました。
……その音だったんです。
前は気付かなかったんですけれど、その時はあまりにも海中が明るかったので、ヒトデの形がよく見えました。
五本の足をうねらせて船縁を叩くその下、六本目の足が海中の奥深くまで伸びていて……。
ヒトデの数が数でしたから、何百本もの足が暗い海底から伸びていて、何ていうかな……そんな素振りは全然なかったのですけど、海中に引きずり込まれるかと……。
一瞬そんな考えが頭を過りました。
――あ、土井先生、気付きました?
そうなんですよ、一本だけ長く伸びた足と、短い五本の足。
状況によっては、人の手そっくりに見えるヒトデだったんですよ。
忍者の私でさえ、前日に見たヒトデと冷静に観察する時間がなければ、言い伝えに聞く船幽霊かと慄いたところです。
信心深い船乗りたちがこれに気付いたらどれだけ恐慌することか。
しかし、私には人知れずヒトデを散らす術もなければ、全員の耳を塞ぐ術もありません。
うたた寝していた夜番の水夫が腰を抜かしながら上げた悲鳴を皮切りに、船上はそりゃあひどいことになりました。
……陸の戦場だったら、もう少しどうにかしようもあったんですけどねえ……全く、未熟もいいところです。
しかし古参の船乗りはともかく、雇われ水夫の取り乱しようはひどかったですよ。
その辺にあったものを全部、縄も櫂も桶も積み荷も全部ヒトデに向かって投げつけたもんですから、まだ比較的冷静な古参にぶん殴られていましたね。
きり丸くんは船幽霊の話は知っているかい?
そう、海で出遭った幽霊に、柄杓や桶を渡してはならない、必ず底の抜けたものを用意しておくこと、という船乗りの言い伝えだ。
それを知っていたから、きっと古参の水夫は焦ったんだろう。
ところが、桶をぶつけられても、ヒトデは何の反応も示さなくてね。まあ、幽霊なんかじゃなくてヒトデだから当然かもしれないが。
古参の水夫があからさまにホッとした顔をしていましたね。
皆がただ騒いで怯えているだけなら、もしかしたらそのまま朝を迎えることができたかもしれません。
前日のヒトデは日が昇ると消えていましたから、そのまま予定通りの航行が可能だったかもしれない。
ですが、事がそう穏やかに進んでいれば——ここでこうやってご迷惑をおかけする羽目にもならなかった、というワケでしてね。
船内から火の手が上がったんです。
ええ……仰るとおりです。
種火は、私の仕掛けた細工でした。
いや、迂闊でした。
水瓶の底に細工を施していたんですが、まさかそれを動かす馬鹿がいるとは。
ああ、きり丸くんはまだ習ってないのかな。
海で一番必要な物はね、水なんだよ。海の水はしょっぱくて飲めたものじゃないだろう?
海には井戸もないし川もないし、茶店もない。喉を潤す場所がないんだ。
だから、どんな舟でも、必ず水瓶を用意しておくんだ。生命線だからね。
そんな重要な水瓶をひっくり返す阿呆がいるとは思わなかったんですよ。特に水夫なら、水の大切さは身をもって知っている筈でしたから。
恐らく恐慌のあまり正気ではなかったんだろうと思いますが、とんでもないことになりました。
なにせ、火を消す道具――柄杓や桶は、全部海に投げ捨てられてしまったんですからね。
火は瞬く間に広がって――この時ばかりは、仕掛けを周到にした自分の腕を恨みました。自分で言うのもなんですが、対処する暇もない。
已む無く飛び込んだ海は、心の臓が縮む程冷たかった。
海藻のように纏わりついてくるヒトデを引き剥がしながら泳いでいたんですが、寒くて手足は動かないし呼吸もしにくいしで、生きた心地がしませんでしたねえ。
海上で上がった火の手に驚いて舟を出した漁師の方々が居なければ、力尽きていたかもしれません。
……助けられた舟の上、寒さに震えながら振り向いた先で、元乗っていた船が完全に沈んでいくのが見えました。
沈んでいく船の破片やら何やらにヒトデがへばりついて、一緒に沈んでいくのも見えました。
あの光景に……少しばかり、寒さとは別の悪寒がしたのも確かです。
海って不思議な事があるもんですねえ。
結果的に忍務は果たせたから良いんですが……依頼主になんて説明したものかなぁ……。
家主のコメント
土井:
気持ちは判るけど利吉君、君ちょっと大胆すぎないかい!?
忍びは生きて帰るのも任務の内なんだから、もうちょっと自分を大事にした作戦を立てなさい。その仕掛けの火のまわりの速さを聞くに、変なヒトデがいなくても寒中水泳することになってたんじゃないのか?下手したら。
山田先生には言わないでおくけど、君を心配する人はたくさんいるんだよ。
あとね、これは独り言なんだが。
船幽霊から逃げてきたって衆が、結構な人数、港の宿で寝込んでるそうだ。
少なくともあと数日は動けないだろうなあ。
天才アルバイターのコメント
きり丸:
はあ~なるほど、お化けとか出ると商売上がったりっスねえ。しんべエの父ちゃんも船沈むと丸損だって言ってたし。
くう~、海の底でヒトデの餌になるくらいなら俺が潜って拾って来……えっ何すか二人してそんな形相で止めなくても、じょ、冗談すよ~あっはっは~!
しかし、船幽霊のウワサは今すごいですよ~、見世物小屋じゃあもう船幽霊の演題が上がってるんすよ。
そのうち、物好きの戯作の先生なんかが詳しい情報に金一封つけるんじゃないかって睨んでるんすけどねえ、でへへ~利吉さんいででででででで土井しぇんしぇい頬っぺた千切えう!
まだなんも言ってないじゃないですか!口止め料とかぎゃんっ!?くくう~……(以下げんこつ握ったままお説教に入る土井先生)
すみません土井先生、起き上がれるようになったらすぐ出ますから。
看病までさせてしまって申し訳ない。
ハハ……ちょっと油断して、氷の張った海で寒中水泳する羽目になっちゃいましてね。
……そうですね、正直かなりの遠泳でしたし、風邪ですんだだけいいのかもしれません。
あっ……と、きり丸くん、アルバイトは良いのかい。
うん……そう?ハハハ……とりあえず虫の入っていない料理ならなんでもいいよ。
ん?うーんちょっと仕事でね……ああ、いいですよ土井先生。
話せる範囲の事ですし、きり丸くんはちょっと無鉄砲なところがあるみたいだしなぁ。教訓にしてくれると嬉しいね。
今回、私はとある船の積み荷に用があって、雇われ水夫に変装して潜入していたんですよ。
板一枚下は地獄の釜だとうそぶく連中も少なくない――船、海というものは逃げ場がありません。なるべくなら陸で事を済ませたかったんですが、今回はどうにも仕様がなくて。
まあ、どうにも仕様がないことを何とかするのが忍者の仕事なんですが……。
夜、こっそり積み荷に細工をしていた時のことです。
ぴちゃん、ぱしゃんと小さな水音が聞こえたんです。
ええ、そりゃ海ですから、波の音は始終聞こえます。船に波が打ちつける音も。
ですが、それとは違う……何かが船の横腹を叩いているような、そんな音だったんですよ。
「おう、どうした。しょんべんかぁ?」
夜番の男が声をかけてくるのへ適当に挨拶を返して、船縁を見に行きました。
夜番の男は気付いてないようでしたが、船縁の向こう側がね、ぼんやり光ってたんですよ。
最初は、これが話に聞く光るイカか、と思ったんですよ。クラゲとかも光るらしいですね。
とても美しいと聞いていたので、興味がわいてよく見てみようと目を凝らしたところ……それは、イカでもクラゲでもなく。
ぴたん、ぺちゃんと木板を叩く、それは何匹ものヒトデでした。
ヒトデはご存知ですか、えぇ、漢字でこう……『人手』と書くんです。
形は、そうですねぇ、刃が五本ある手裏剣のような……。生き物ですからウネウネ動きますが、ナメクジとか亀のように動きは遅いです。
海底に張り付いているのを見ると、パッと見は花みたいなんですが……。
た、食べられるか?きり丸くん、逞しいね……。残念だけど、漁師に言わせると食えたもんじゃないらしい。商品化は諦めた方が良いと思うよ。
ヒトデは淡く緑色に発光しながら、ぴたん、ぱちゃんとただひたすら木板を撫でたり叩いたりしていました。寒風に耐えてずっと観察していたんですが、正直特に害があるようにも思えなかったんですよ。
放っておいて船室に戻ったんですが……まあ、この時点で騒ぎを起こしたくないというのもありましたからね。他の水夫に話す事もしませんでした。
今から思えば話しておいた方が良かったのかもしれませんが……。
細工が仕上がるのは早くても次の日だったので、次の夜にでも騒ぎを起こして、積み荷をどうにかしようと思っていたんですよ。
結論から言うと、全て無駄になりました。
……無駄どころか、事態を悪化させてしまったんですよね~ハハハ……はあ。
次の日の夜。
皆が寝静まった頃、雨の音が聞こえてきました。
これは機が巡ってきたか、そう思ってそっと積み荷のところへ忍んで行ったんですが……おかしなことに、音はするのに雨が降っていないんです。
おまけに外も妙に明るい……雨なら、月も星も隠れている筈ですよね。
おかしい、そう思って、また船縁を見に行きました。
そうしたらもう、息を呑みましたよ。
船縁が燃えているのかと思う程、明るく、薄緑色に光っているんです。
前の夜のヒトデと同じ光り方だと、すぐに察しがつきました。
しかし前日と違うのは――舟の周りを、ぐるっとその光が取り巻いているということでした。
そして、舟の周り中から板を叩く音が……、……てっきり雨粒が舟を叩いている音かと思ったんですけどね。
思わず気配を殺しながらそっと覗いてみた海は、圧巻の一言でした。
何十、何百ものヒトデがびちゃんぼちゃんと水音を立てながら、まるで強請る様に舟を叩いていました。
……その音だったんです。
前は気付かなかったんですけれど、その時はあまりにも海中が明るかったので、ヒトデの形がよく見えました。
五本の足をうねらせて船縁を叩くその下、六本目の足が海中の奥深くまで伸びていて……。
ヒトデの数が数でしたから、何百本もの足が暗い海底から伸びていて、何ていうかな……そんな素振りは全然なかったのですけど、海中に引きずり込まれるかと……。
一瞬そんな考えが頭を過りました。
――あ、土井先生、気付きました?
そうなんですよ、一本だけ長く伸びた足と、短い五本の足。
状況によっては、人の手そっくりに見えるヒトデだったんですよ。
忍者の私でさえ、前日に見たヒトデと冷静に観察する時間がなければ、言い伝えに聞く船幽霊かと慄いたところです。
信心深い船乗りたちがこれに気付いたらどれだけ恐慌することか。
しかし、私には人知れずヒトデを散らす術もなければ、全員の耳を塞ぐ術もありません。
うたた寝していた夜番の水夫が腰を抜かしながら上げた悲鳴を皮切りに、船上はそりゃあひどいことになりました。
……陸の戦場だったら、もう少しどうにかしようもあったんですけどねえ……全く、未熟もいいところです。
しかし古参の船乗りはともかく、雇われ水夫の取り乱しようはひどかったですよ。
その辺にあったものを全部、縄も櫂も桶も積み荷も全部ヒトデに向かって投げつけたもんですから、まだ比較的冷静な古参にぶん殴られていましたね。
きり丸くんは船幽霊の話は知っているかい?
そう、海で出遭った幽霊に、柄杓や桶を渡してはならない、必ず底の抜けたものを用意しておくこと、という船乗りの言い伝えだ。
それを知っていたから、きっと古参の水夫は焦ったんだろう。
ところが、桶をぶつけられても、ヒトデは何の反応も示さなくてね。まあ、幽霊なんかじゃなくてヒトデだから当然かもしれないが。
古参の水夫があからさまにホッとした顔をしていましたね。
皆がただ騒いで怯えているだけなら、もしかしたらそのまま朝を迎えることができたかもしれません。
前日のヒトデは日が昇ると消えていましたから、そのまま予定通りの航行が可能だったかもしれない。
ですが、事がそう穏やかに進んでいれば——ここでこうやってご迷惑をおかけする羽目にもならなかった、というワケでしてね。
船内から火の手が上がったんです。
ええ……仰るとおりです。
種火は、私の仕掛けた細工でした。
いや、迂闊でした。
水瓶の底に細工を施していたんですが、まさかそれを動かす馬鹿がいるとは。
ああ、きり丸くんはまだ習ってないのかな。
海で一番必要な物はね、水なんだよ。海の水はしょっぱくて飲めたものじゃないだろう?
海には井戸もないし川もないし、茶店もない。喉を潤す場所がないんだ。
だから、どんな舟でも、必ず水瓶を用意しておくんだ。生命線だからね。
そんな重要な水瓶をひっくり返す阿呆がいるとは思わなかったんですよ。特に水夫なら、水の大切さは身をもって知っている筈でしたから。
恐らく恐慌のあまり正気ではなかったんだろうと思いますが、とんでもないことになりました。
なにせ、火を消す道具――柄杓や桶は、全部海に投げ捨てられてしまったんですからね。
火は瞬く間に広がって――この時ばかりは、仕掛けを周到にした自分の腕を恨みました。自分で言うのもなんですが、対処する暇もない。
已む無く飛び込んだ海は、心の臓が縮む程冷たかった。
海藻のように纏わりついてくるヒトデを引き剥がしながら泳いでいたんですが、寒くて手足は動かないし呼吸もしにくいしで、生きた心地がしませんでしたねえ。
海上で上がった火の手に驚いて舟を出した漁師の方々が居なければ、力尽きていたかもしれません。
……助けられた舟の上、寒さに震えながら振り向いた先で、元乗っていた船が完全に沈んでいくのが見えました。
沈んでいく船の破片やら何やらにヒトデがへばりついて、一緒に沈んでいくのも見えました。
あの光景に……少しばかり、寒さとは別の悪寒がしたのも確かです。
海って不思議な事があるもんですねえ。
結果的に忍務は果たせたから良いんですが……依頼主になんて説明したものかなぁ……。
家主のコメント
土井:
気持ちは判るけど利吉君、君ちょっと大胆すぎないかい!?
忍びは生きて帰るのも任務の内なんだから、もうちょっと自分を大事にした作戦を立てなさい。その仕掛けの火のまわりの速さを聞くに、変なヒトデがいなくても寒中水泳することになってたんじゃないのか?下手したら。
山田先生には言わないでおくけど、君を心配する人はたくさんいるんだよ。
あとね、これは独り言なんだが。
船幽霊から逃げてきたって衆が、結構な人数、港の宿で寝込んでるそうだ。
少なくともあと数日は動けないだろうなあ。
天才アルバイターのコメント
きり丸:
はあ~なるほど、お化けとか出ると商売上がったりっスねえ。しんべエの父ちゃんも船沈むと丸損だって言ってたし。
くう~、海の底でヒトデの餌になるくらいなら俺が潜って拾って来……えっ何すか二人してそんな形相で止めなくても、じょ、冗談すよ~あっはっは~!
しかし、船幽霊のウワサは今すごいですよ~、見世物小屋じゃあもう船幽霊の演題が上がってるんすよ。
そのうち、物好きの戯作の先生なんかが詳しい情報に金一封つけるんじゃないかって睨んでるんすけどねえ、でへへ~利吉さんいででででででで土井しぇんしぇい頬っぺた千切えう!
まだなんも言ってないじゃないですか!口止め料とかぎゃんっ!?くくう~……(以下げんこつ握ったままお説教に入る土井先生)
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