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嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2025/07/06 [06:27:19] (Sun)
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2012/10/08 [22:24:32] (Mon)
鶴町伏木蔵

拍手[13回]

 ええ~?ホントに知りたいんですかあ?

 いいですけどお、話したあかつきには協力してもらいますよう?

 

 わあ、こなもんさん大人のお返事ですねえ。大人ってほんとずるいですう。

 

 

 

 ええっとぉ、ぼくの父様にはちょっと変わったクセがありましてぇ。

 しょっちゅうお引っ越しするんです。ひと月と同じところにはいませんでした。

 

 ぼくと母様はそれには付き合わないでずっと同じ長屋に住んでましたけど、別に夫婦仲が悪いとかそういうことじゃあありません。

 父様は朝はご飯を食べにきて、昼は仕事して、夜はまた帰ってきてご飯食べて、ことあるごとに母様といちゃこらしてましたからぁ。

 おかげでぼく、けっこう空気の読める子に育ったと思いますよぉ。読めても気にしないことも多いですけど。



 

 ちょっと乱太郎ぉ、なんでそこで何度も頷くの?

 は組にそういう反応されるのってちょっと心外だよ?



 

 話に戻りますけど、とにかく寝る場所だけ父様は別みたいな、ちょっと変わった家族だったんです。

 ぼくも長屋の子と遊ぶようになって、他のお家と違うって分かっていたので不思議に思ってたんですけどぉ、母様は父様に聞きなさいって言うし父様は逃げるしぃ。

 でも、ぼくが八歳になった日だったかなあ。

 突然その理由が分かったんですよねぇ。


 

 

 んん~、うふふ、聞きたいですかぁ?

 いいよぉ、教えてあげる。だけど乱太郎も手伝ってね。

 あ、こなもんさんは強制参加なのでぇ。拒否権はありませ~ん。


 

 

 えっとですねぇ。

 朝起きたら、天井と壁の真ん中に染みが出来てたんです。

 木が腐ってぐずぐずになったみたいな色の、真っ黒い染みでした。

 

 そしたら、父様が朝から血相変えて駆け込んできて、

「すまん……!」

て言うんです。

 その日から、父様はぼくたちと一緒に暮らすようになりました。

 

 んふふ、お話は最後まで聞くものですよう?

 

 

 

その染みから、指が生えてきたんです。

夜の間だけですけどぉ。

 

 

 

 のっぺりとして爪のない、人形みたいな艶のある手なんですよお。

 ぴくりとも動かないんで、最初はワケも分からずに普通に握ろうとしたんですけどぉ。

 父様がものすごい顔して止めるんです。

 ワケを聞いてみたら、なんとビックリなんですよ。


 

 ぼくの家系は呪われているんですって。


 

 長く一所に住んでると、そののっぺりした手がどんどん出てきて、捕まったら最後神隠しにあってしまうって言うんですぅ。

 

 父様頭がおかしくなったのかしらん。

 最初はそう思ったんですけどぉ、染みは父様の言う通り日に日に大きく広がっていきました。

 染みが大きくなればなるほど、指しか見えなかったソレが手の甲、手首、肘、ってカンジでどんどん出てきて。

 

 ぼくの布団に手が届くようになった日に、ぼくはその長屋をお引っ越ししました。

 

 それからはもう、父様と同じです。ひと月もしないうちにお引っ越しの繰り返し。

 



 

 

 はい、なんですかこなもんさん。

 ああ~、それがですねぇ、子供が生まれて七歳を過ぎると、その呪いは子供に移るそうなんですう。

 その呪いを受けるきっかけはぼくのお祖父ちゃんみたいなんですけど、全く迷惑な人ですよねぇ。

 父様は「安心しろ、母ちゃんが昔思いっきりはり倒してたから」って言ってましたけど、ぼくも大きくなるまで生きていられたら殴りに行こうと思います。

 母様ですかあ?呪い受けてるようなヒトと一緒になるヒトですよう、肝っ玉は父様よりありましたねぇ。

 

 は~い?ああ、いいえぇ、違いますよぉ。手伝って欲しいのは殴りに行く方じゃありません。

 

 ここまでのお話で、ぼくが忍たま長屋をしょっちゅうお引っ越ししてる理由はわかりましたぁ?


 

 んふふん、それでですねぇ。

 ぼくの部屋に生えてる手をですね?

 

 

 

……ちょっと引っ張ってみたいなあ、って思うんです。

 

 

 

 ぼく、肩までしか見たことないんですよ。その先に何があるのかなあって、思いませんかぁ?

 

 いやですよぅ、しょせんさんも数馬先輩たちも、そんなどん引きしなくてもいいじゃないですかぁ。

 ぼくが大きくなって力もついたら、その手を引っこ抜くのに協力して欲しいんです。

 

 あ、こなもんさんは実は全然びっくりしてないですね〜?

 嘘ぉ~、こなもんさんがびっくりしてるのって、ぼく一回も見たことないですもん。

 

 うふふ、手伝ってくれる人がたくさんできて良かったですう。

 その時までにぼくも体鍛えたり調べたりしますし、皆さんもそれまで死なないで下さいねぇ。

 

 えぇ?ぼくたちは忍者なんですよぉ?

 呪いなんてなくたって……ねぇ?こなもんさん。

 

 油断大敵火がボーボー、ですよぉ。

 


 

 

 

曲者のコメント

雑渡:

いやー、引っ越し癖の話からとんでもないモノ引っ張り出しちゃったよねー。

それにしてもあの子のスリリングな性格は生まれつきなんだねぇ。成長して実力つけたら何やらかすかおじさん心配だなー。

悪運は強そうだけど基本不運だしねぇ。あの影の薄い子もハラハラしてて可哀想に、後輩がああだと苦労しそうだねえ。

 

うんでもまあ、ここだけの話、呪詛を引っ張り出して退治しちゃうのも一つの手段ではあるんだよね。物凄く強引だし、呪い主によってはそのままお陀仏だけどね。

 

あー、そうだ諸泉。忍たまとはいえ十歳の子供に恐車の術かけられちゃってまあ、お前は……。今月の給料十五%カットね。

 

 

諸泉:

ええええええええ!?ちょ組頭それはないですよ!

っていうか恐車の術ってことは噓っぱちなんですか!?

う……それはまあ……あの話が嘘にしろ真にしろ動揺してしまったのは確かですが……。

いやだってあの話が本当ならですよ!?触らぬ神に祟りなしって言葉を、懇切丁寧に教えてあげたくなるようなこと言ってんですよあの子!

 

組頭、都合が良かったらちょっと手伝ってあげようかなーとか思ってらっしゃるでしょう。

言っておきますが、私は貴方の部下として!こんな怪しくて、胡散臭くて、危ない話に直接関わることは断固!阻止しますからね!

どうしてもというなら私が行きます!

 

ちょっと組頭、何笑ってるんですか!本気ですからね!?



 
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