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嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2025/07/06 [00:52:41] (Sun)
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2012/11/01 [22:50:26] (Thu)
竹谷八左エ門

拍手[11回]

 もうやだまじ怖い。七松先輩すげえ怖い。

 俺、首もげるかと思った。ラリアットぱねぇ。

 

 今週二回目だぜ……せめて委員会活動中はヤメて欲しいって思うのは俺のわがままなの?どうなの?

 ちっくしょ~、お前らはいいよなぁ。

 兵助も勘ちゃんも要領いいし、雷蔵は中在家先輩がいるし、三郎は逃げ足速いし。

 

 んあ?あぁ、今週の一回目はあれだ、井戸の。

 なんで井戸って、なあ?俺にもよくわかんねえけどさ。

 

 

 

 あー、と、確か大山兄弟とジュンコが逃げたんだ。それで、泣き叫んで飛び出した孫兵に一年を向かわせて、俺は小屋の補修してから捜索に加わった。

 

 水練池の近くを探してた時だったかなー、地面が急にモコモコ盛り上がってきた。

 微かにいけどーんて声が聞こえて、その時点でバリバリ嫌な予感がした。

 咄嗟に遠くに逃げようとした俺の目の前で、地面が天地創造的な勢いで爆散した。

 

 

 そうだ雷蔵、地面を割って現れたのは体育委員会名物、暴君七松だった!


 

 ちょお前ら笑いすぎだろ!

 いや、こないだ治療してもらった時に善法寺先輩が名物って言ってたからよぉ、なるほど!って思ってさ。

 

 

「いっけどおおおん!」

 

 七松先輩は雄叫びを上げながら俺の頭上を飛び越えた。

 そして俺の後ろに着地するなり、慌てて振り向いた俺の肩をガッチリ掴んでこうのたまった。


 

「竹…エ門!組み手しよう!」

 

 俺の名前は竹谷です。

 

 

 なああの人さ、地面爆発させて飛び出てくるとか、そのままの勢いで俺を飛び越えるとかさ、何者なの?つか人間なの?

 あのヒト人類?マジで?

 

 断る暇なく襲いかかられて、もう構えるだけで精一杯だってーの。

 先輩の蹴りくらって、腕の骨持ってかれそうになりながら池に落ちる羽目になった。

 

「ちょあああ先ぱゴベバッ!?」


 

 つーかこの時居ただろ三郎!?木の上で腹抱えて笑ってたのちらっと見たぞ!

 助けろよこの外道!ちっくしょおおお!次は巻き込んでやっからな!


 

 先輩と池に転がり落ちた……つか、ぶち込まれたってーか……うん、まあ落ちたんだ。

 

 池に落ちた途端、あたりが真っ暗になった。

 夏だってのに水が超~冷たくてよ、水練池っていつも日光で温まってぬるいだろ?だからびびったんだけど、首を先輩にがっつり捕られてたんでぶっちゃけそれどこじゃなかった。

 

 どこもかしこも真っ暗だったんだが、上に月が出てるのが見えた。

 

 先輩の腕を叩いたら、真っ暗でほとんど何も見えねぇんで、こっち覗き込んできてさ。

 たぶんよく見ようとしてたんだと思うけど、目ん玉ガッて見開いて、瞳孔かっ開いててさ。

 それどこじゃねぇんだけど、ねぇんだけどさ……マジこえええええええ……!

 

 

 うぅう、ありがとよ雷蔵……!すげえ怖かった……。

 うっせうっせ、いいじゃねぇか今日くらい雷蔵譲ってくれたってよ!ケチ三郎!この雷蔵中毒者!

 

 

 

 俺の動きを見てか、先輩はぐわっと顔を月に向けると、ぐいぐい泳ぎ出した。

 

 俺の首を掴んだまま。

 

 また、水面までが長かったんだこれが……。

 俺は二重の意味で死にそうになりながら、先輩に引っ張られて水面に出た。

 

「ぶゲッホゴホがはげへっ」

「げっほ無事かぁ!竹げっほごほっ門!」

「ごっほっ、はい!がほごはっ」

 

 なんか妙に狭いと思ったら、そこは井戸の中だった。

 月って思ったのは、井戸から見える空だったんだな。

 

 上からカララッて音がしたかと思ったら、頭に何か固いもんがものすげえ勢いで当たってさ、気付いたら勘ちゃんに背負われてたんだよなぁ。

 

 

 そうだ!あの後妙に兵助が豆腐食わせようとするから何かと思ったら、井戸につるべ落としたの、兵助だったんだってよ。

 気にしなくていいのになぁ、当たったのなんて偶然なんだしよ。

 むしろ七松先輩に当たらなくて幸運だったと思うぜ……。


 

 にしても、池に落ちた筈なのに、なんで井戸の底に出たんだろうなぁ。

 

 どう考えても、繋がってるハズねえんだけどなあ……?

 


 

 

同輩のコメント

鉢屋:

ぃやかましい!雷蔵中毒で何が悪い!

……あ、雷ぞ……う、さん?あの、すいませんでした……?

うるさいぞ勘右衛門!お前次の委員会は覚えておけよ!

 

ああ、あとなハチ、あれは池が井戸と繋がってる云々の話じゃあないと思うぞ。

お前と七松先輩が池に落ちた時、全く水飛沫が上がらなかったからな。波紋一つできなかった。

端で見ていた私にもワケがわからん。

お前みたいな脳筋が考えても無駄だ無駄、変に悩むなよ。


 

尾浜:

おいちょっとお前ら、ここで取っ組み合い始めるなよ。最終兵器雷蔵様を呼び出すぞ。

お、そういえばつるべ落とした時もさ、スッカアアアンってい~い音してたよね~。ハチの頭って良い音するわ。

 

井戸から七松先輩の声がしてさぁ、たまたま集まってた生徒は大騒ぎだよ。

体育委員なんか「ついに幻聴が……!」とか騒ぎ出して、同級に憐れみの目で見られてたなぁ。

俺?はまあ、七松先輩がハチ背負って上ってきたから、「ああ、塹壕掘りに付き合わされて井戸掘り当てた挙げ句、つるべくらったのか……哀れ、八左」って思ってたんだけど。

実はそんな摩訶不思議な話だったんだ?

 

てゆーか、ハチ、肋骨なんともない?

いやさぁ、七松先輩がね、ハチに水吐かせようとしてボディブローかましてたからさ?
 

絶対水以外のもんも出たと思ったね。


兵助なんか思わず「あいつ、死んだか」とか言っちゃってたもんねぇ、うんうん。

まぁ元気なら良かった!元気なら平気だろハチ、七松先輩が……呼んでたよ……。

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