嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2016/07/30 [22:28:51] (Sat)
ええ〜……突然怖い話って言われても……。
あっ、あれなら怖い話……かな?
ぼくの実家が染め物やってることは知ってるだろ?
前、ヘンなことがあったんだ。
その話。
ーーぼくはお客さんと直接会ってるわけじゃないから、父ちゃんからの又聞きなんだけどね。
お客さんから、手ぬぐいを染めてくれないかって言われたんだって。
蔵に入ってた着物を処分することになって、手ぬぐいとして解いたんだけど、シミが気になるからって。
あ、けっこうそういう注文多いんだよ。
手ぬぐい一枚でも気になる人は気になるみたいで、染め直して大事に使ってたりするみたい。中にはふんどしのシミを消してくれなんていう人もいるんだから。
……うーんまあしょーじき鼻が死にそうな時もあるけど、念入りに洗うしね。
うん、そんでさ、手ぬぐいはかなり簡単な方だから、ぼく一人でやってみろって言われたんだ。
ぼくもいつも手伝ってることだから、フツーに「はーい」って言ったんだ。
手ぬぐいはね、何度も洗って色がだいぶ落ちた感じの、青と黄土の模様の入った布だった。全部で8枚くらいあったかな。
けっこう色が残ってるから、濃いめに染めた方がいいかな〜なんて思いながら、染料につけてたんだ。
そしたらさ。
じわじわ……って布が黒ずむんだよ。
え、ぼくなんかまちがえた!?と思って慌てて引き上げるでしょ?
(あちゃあ〜やっちゃったかな〜)
手ぬぐい広げて、一瞬固まったよ。
その黒ずみ、人の手の形をしてたんだ。
大きさからいって、大人の男の人の手だと思う。
ぎょっとして固まってたんだけど、ちょっと、ん?と思うことがあって、手ぬぐいを並べてみたんだ。
なんかね、その黒ずみ、つながってる気がして……。
元の着物の形になるように並べて、ぞ〜っとしちゃった。
この黒いシミ、まるで抱きつくように……、
着物きた誰かの腰あたりに、男の人が抱きついてるような。
そんな形のシミでさ……。
それがね、よ〜く洗う前の布地だったら、そういう、染料にひたしたら色が変わるみたいな?ことも普通にできるんだよ。そういうのを利用していろんな模様作るんだから。
でも、でもね、それは、ついさっき川で洗ってきたばっかりの、汚れてるはずのない布だったんだよぉ〜!
ちょっと背中がヒヤ〜ッとして、思わず父ちゃん呼んだよね。どうすればいいかわかんなかったしさ。
父ちゃんはそれ見て、むつかしい顔して言ったよ。
「こりゃあ、血でも染み込んでたのかもしれんなあ」
え゛っ。
「で、でも父ちゃん、ちゃんとよく洗ったよ?」
「あぁ、伊助は初めてだったか。なんだかなぁ、たまにあるんだよ。洗っても洗っても落ちない血ってやつが」
恨みだか未練だか、なんかそういうもんが染みついちまってるんだろうなあ。
父ちゃんはそう言って、腕組みしながらため息ついてた。
それから手ぬぐいは濃いめの色で染め直して、お客さんに渡したけど……。
んーこっちも商売だしさ、あんま詮索はしないよ。普通はああいう血の染み込んだものって、供養したり燃やしたりするみたいだけどね。
……何故かどうしても再利用しようとするお客さん、いるんだよねえ。お金に困ってるわけでもなさそうなんだけど。
でも、あの血手形のついた手ぬぐいを首とか頭に巻いて使うのか〜って考えるとさ〜。ねえ?
思わず自分が使ってる手ぬぐい確認しちゃうよね〜。
同級のコメント
団蔵:
ウワアアアアやめろよ伊助ええ!濃いめの手ぬぐい使いにくくなるじゃん!ウチにそんないわく付きの着物なんてないって信じてるけど!信じてるけどぉ!
なんか濃いめの布地買いにくくなるじゃんんん!
庄左ヱ門:
団蔵と虎若の部屋にある手ぬぐいはすぐカビて腐ってぞうきんになるんだし、そこまで心配しなくていいんじゃない?
虎若:
おっとぉ庄ちゃん冷静なコメントありがとう!こっちに飛び火させるとは全く読めなかったぜ、そこに痺れる憧れるぅ!でもやめておねがい!伊助のお掃除スイッチ入っちゃうから!
伊助が怒れる母ちゃんになっちゃうからああ!
ええ〜……突然怖い話って言われても……。
あっ、あれなら怖い話……かな?
ぼくの実家が染め物やってることは知ってるだろ?
前、ヘンなことがあったんだ。
その話。
ーーぼくはお客さんと直接会ってるわけじゃないから、父ちゃんからの又聞きなんだけどね。
お客さんから、手ぬぐいを染めてくれないかって言われたんだって。
蔵に入ってた着物を処分することになって、手ぬぐいとして解いたんだけど、シミが気になるからって。
あ、けっこうそういう注文多いんだよ。
手ぬぐい一枚でも気になる人は気になるみたいで、染め直して大事に使ってたりするみたい。中にはふんどしのシミを消してくれなんていう人もいるんだから。
……うーんまあしょーじき鼻が死にそうな時もあるけど、念入りに洗うしね。
うん、そんでさ、手ぬぐいはかなり簡単な方だから、ぼく一人でやってみろって言われたんだ。
ぼくもいつも手伝ってることだから、フツーに「はーい」って言ったんだ。
手ぬぐいはね、何度も洗って色がだいぶ落ちた感じの、青と黄土の模様の入った布だった。全部で8枚くらいあったかな。
けっこう色が残ってるから、濃いめに染めた方がいいかな〜なんて思いながら、染料につけてたんだ。
そしたらさ。
じわじわ……って布が黒ずむんだよ。
え、ぼくなんかまちがえた!?と思って慌てて引き上げるでしょ?
(あちゃあ〜やっちゃったかな〜)
手ぬぐい広げて、一瞬固まったよ。
その黒ずみ、人の手の形をしてたんだ。
大きさからいって、大人の男の人の手だと思う。
ぎょっとして固まってたんだけど、ちょっと、ん?と思うことがあって、手ぬぐいを並べてみたんだ。
なんかね、その黒ずみ、つながってる気がして……。
元の着物の形になるように並べて、ぞ〜っとしちゃった。
この黒いシミ、まるで抱きつくように……、
着物きた誰かの腰あたりに、男の人が抱きついてるような。
そんな形のシミでさ……。
それがね、よ〜く洗う前の布地だったら、そういう、染料にひたしたら色が変わるみたいな?ことも普通にできるんだよ。そういうのを利用していろんな模様作るんだから。
でも、でもね、それは、ついさっき川で洗ってきたばっかりの、汚れてるはずのない布だったんだよぉ〜!
ちょっと背中がヒヤ〜ッとして、思わず父ちゃん呼んだよね。どうすればいいかわかんなかったしさ。
父ちゃんはそれ見て、むつかしい顔して言ったよ。
「こりゃあ、血でも染み込んでたのかもしれんなあ」
え゛っ。
「で、でも父ちゃん、ちゃんとよく洗ったよ?」
「あぁ、伊助は初めてだったか。なんだかなぁ、たまにあるんだよ。洗っても洗っても落ちない血ってやつが」
恨みだか未練だか、なんかそういうもんが染みついちまってるんだろうなあ。
父ちゃんはそう言って、腕組みしながらため息ついてた。
それから手ぬぐいは濃いめの色で染め直して、お客さんに渡したけど……。
んーこっちも商売だしさ、あんま詮索はしないよ。普通はああいう血の染み込んだものって、供養したり燃やしたりするみたいだけどね。
……何故かどうしても再利用しようとするお客さん、いるんだよねえ。お金に困ってるわけでもなさそうなんだけど。
でも、あの血手形のついた手ぬぐいを首とか頭に巻いて使うのか〜って考えるとさ〜。ねえ?
思わず自分が使ってる手ぬぐい確認しちゃうよね〜。
同級のコメント
団蔵:
ウワアアアアやめろよ伊助ええ!濃いめの手ぬぐい使いにくくなるじゃん!ウチにそんないわく付きの着物なんてないって信じてるけど!信じてるけどぉ!
なんか濃いめの布地買いにくくなるじゃんんん!
庄左ヱ門:
団蔵と虎若の部屋にある手ぬぐいはすぐカビて腐ってぞうきんになるんだし、そこまで心配しなくていいんじゃない?
虎若:
おっとぉ庄ちゃん冷静なコメントありがとう!こっちに飛び火させるとは全く読めなかったぜ、そこに痺れる憧れるぅ!でもやめておねがい!伊助のお掃除スイッチ入っちゃうから!
伊助が怒れる母ちゃんになっちゃうからああ!
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