嘘と創作を混ぜて語る日記的なもの
2016/02/09 [18:50:40] (Tue)
はあ?
……え、は、べっ別にアホのは組と仲良くしてたワケじゃねーよ!
伊助のアホはこ、後輩なんだし、アホの後輩の面倒見るのは先輩の仕事だろ!
それにこれはそういうのじゃなくて、委員会でやってることで……あっ、タカ丸先輩!タカ丸先輩だってやってるし!
それにこれ教えてくれたの久々知先輩なんだぜ?
俺は落ち着いてるって!左近と久作はひそひそ話やめろっての!ちゃんと効果あるんだからな!?
えーっと、たしかタカ丸先輩が入ってすぐの頃だから……なあおい嘘じゃないんだって。これ結構マジメな話なんだぞ。
その時は久々知先輩がいなかったんで、俺と伊助でタカ丸先輩に仕事教えることになってて、煙硝蔵の奥で、3人であれこれ話してたんだ。
まーほとんど俺が教える役だったんだけどな。だってさ、考えてもみろよ。言うまでもないけど、伊助は、あのは組だぜ?
俺も時々、ものすごくたまにだけどな!?数間違えたり、表の記入間違ってたりするのに、テストで小数点以下の点数とるので有名な一年ボーズが間違えないわけないだろ?
最初の頃なんてアイツ泣きべそかきそうになって、火気湿気厳禁の場所で何してんだバカって慌てて連れ出してさあ。仕方ねーからそれからしばらく見張りして……ち、ちげーよ!べそべそされると火薬に良くないから……べ別にアイツのこと心配してたわけじゃないんだからな!
それにあいつ細かい作業向いてるっぽくてすぐ慣れたし!付きっ切りで見てやったのは最初の一月だけだからな!別にあいつのためじゃなくて!聞けよ!
あっ?あ、ああ、うん、そうだけど。
……左近、強引だな……いや、なんでもないけど。
まあ、それでさ、煙硝蔵ってお前ら入った事あるっけ?
そうそう、火気厳禁で、灯りを持ち込んじゃいけないんだ。明かり窓もそんな大きくないから、常に薄暗い。
冬の曇りの日なんか大変だぜ。
暗いし寒いし、完全に影になっちゃって真っ暗になるところもある。
湿気が入るから本当は曇りと雨の日とかは開けない方がいいらしいんだけど、物が物だから、在庫の確認は1日も欠かせないんだって土井先生が言ってた。
それでさ、その日は曇りだったんだ。
どんよりした雲が空にかかってて、煙硝蔵の中はいっそう暗かった。
「うぇ……く、暗いね……」
「タカ丸先輩、曇りの日は初めてでしたっけ?」
「暗いですよねえ~、ぼくもまだちょっと怖いです……」
明かり取りの小さな窓から入る光は弱くて、ずらりと並ぶ大小の壺は影が濃かった。
……ま、まあ、俺もちょっと怖かったような気がしないでもないかな!
あそこ、静かだからさ……。
「はあー?伊助まだ慣れないのかよ?」
「むっ、じゃ、じゃあ三郎次……センパイは平気なんですかー?」
「お、おれは平気さ!こわくなんてない!」
「棒読みじゃん!三郎次もこわいんだ!」
「先輩をつけろ!このアホ!」
「もーほら二人とも喧嘩しなーい。今日は俺にお仕事教えてくれるんでしょ?」
「「すみませーん」」
タカ丸先輩って、俺たちに色々習ってる新人だけど、でも、やっぱり年上なんだよな……。
まあ、それで、在庫表をタカ丸先輩に見せながら、壺の置かれた棚を指差して、説明しようとしたんだ。
「これが……」と指差した先だ。
壺の影。
いつもより濃いその影の中ーー
ぎょろりと目玉がこっちを向いた。
「………………」
一対の、でっかい目玉だ。ニワトリの卵くらいの。
それが、壺の影になってるとこに浮いてた。
妙に丸みを帯びて見える目玉は、ゆっくりと瞬きをした。
「ひっ」
誰かの引き攣った声がして、俺も遅れて悲鳴を上げそうになった。
となりの壺の影に、もう一個。でかい目玉がこっちを見てた。
黒目がでかくて、でも光をひとつも反射してなくて、墨を塗ったくったみたいな、真っ黒な目だった。
そいつはまた、瞬きした。
棚の影に、もうひとつ、ふたつ、目が開いた。
そいつらは凍りついたように動けない俺たちをじぃっと見つめながら、また、 瞬きをする。
ひとつふたつみっつよっつ。
今度は向こうの棚、足元の壺の影、目の前の棚の影ーー4対の目玉が、増えて。
目玉の中に何かがいるようにぐりぐり黒目が動く。
それは、また 瞬きをした。
「「「ーーーーっぎゃ「三人ともどうしたのだあ?」久々知先輩/くん!!!!」」」
べつに!泣きそうになんか!なってねーーし!!
目玉の散らばった煙硝蔵にフツーに入ってきた先輩はめちゃくちゃ頼もしく見えた。
まったく動じてない、いつも通りの久々知先輩。
そんな先輩を見ていると目玉なんて大したもんじゃない…………ようには流石に思えなかったけど、ちょっと冷静になれた。
冷静になってみると、いつの間にかタカ丸先輩が俺たちを庇うように前に出てた。
伊助はタカ丸先輩と俺の服をしっかり握ってたし、俺は無意識で在庫表の板を構えてた。
お・ま・えぇ~、笑うなよ!
土井先生だって出席簿でタソガレドキ忍者に勝ったことあったじゃないか。乱定剣だ乱定剣!
で!そんな完全警戒態勢だった俺たちは置いといて、久々知先輩は「これはな、」っていつもの調子で口を開いて、
「こうすると消えるぞ」
と両手をピースの形にした。
そしたらさ、お前ら驚けよ。
ピースした手を近づけると、目がどんどん閉じて、消えていくんだ!
なんかさ、あ~、二枚貝とかって突くとシュッて閉じるじゃん?あれにソックリだったな。
あんな感じでどんどん逃げるみたいに消えてった。
「曇りの日や雨の日は、たまに出るんだ。蔵に入るときにこうやって入れば、大抵出ないから」
ーーという訳で、俺たち火薬委員は、煙硝蔵に入る時必ず空いてる手をピースにして入るんだ。
ちゃんと理由あっただろ!誰だよ仲良しわいわいクラブとか言ったの!俺たちはすごく真面目に委員会活動してるんだからな!
はあ?仲良しって言われて嬉し……いわけないだろばーか!ばああああかあああああ!!
通りすがりの上級生
久々知:
おい、どうしたのだぁ?なんだか三郎次が火を吹きそうな顔して走って行ったが……。つんでれ?
そうか三郎次もつんでれという人種だったのか。
三郎といい、なんだか大変そうなのだぁ。
ん?……ああ、そうだ。
煙硝蔵は前からあの目玉のお化けがよく出るところで、ある日鬱陶しくなって、目潰ししてやったのだ。
うん?そうだ、こうやってチョキみたいな風に指を二本突き出して、グサッと。
そしたら消えたので、それからというもの、目玉を見かけるたびに目潰ししていたんだ。
すると、手をチョキの形にするだけで目玉が引っ込むようになってな。
お化けといえども流石に学習するんだなとしみじみしたものだ……。
なので、後輩にはこうやって追っ払えと教えているのだぁ。
あ、わかってるとは思うが人間にはやっちゃダメだぞ。
尾浜:
へーすけ、普通お化けにだってそんなことしないからね?七松先輩じゃないんだからね?
はあ?
……え、は、べっ別にアホのは組と仲良くしてたワケじゃねーよ!
伊助のアホはこ、後輩なんだし、アホの後輩の面倒見るのは先輩の仕事だろ!
それにこれはそういうのじゃなくて、委員会でやってることで……あっ、タカ丸先輩!タカ丸先輩だってやってるし!
それにこれ教えてくれたの久々知先輩なんだぜ?
俺は落ち着いてるって!左近と久作はひそひそ話やめろっての!ちゃんと効果あるんだからな!?
えーっと、たしかタカ丸先輩が入ってすぐの頃だから……なあおい嘘じゃないんだって。これ結構マジメな話なんだぞ。
その時は久々知先輩がいなかったんで、俺と伊助でタカ丸先輩に仕事教えることになってて、煙硝蔵の奥で、3人であれこれ話してたんだ。
まーほとんど俺が教える役だったんだけどな。だってさ、考えてもみろよ。言うまでもないけど、伊助は、あのは組だぜ?
俺も時々、ものすごくたまにだけどな!?数間違えたり、表の記入間違ってたりするのに、テストで小数点以下の点数とるので有名な一年ボーズが間違えないわけないだろ?
最初の頃なんてアイツ泣きべそかきそうになって、火気湿気厳禁の場所で何してんだバカって慌てて連れ出してさあ。仕方ねーからそれからしばらく見張りして……ち、ちげーよ!べそべそされると火薬に良くないから……べ別にアイツのこと心配してたわけじゃないんだからな!
それにあいつ細かい作業向いてるっぽくてすぐ慣れたし!付きっ切りで見てやったのは最初の一月だけだからな!別にあいつのためじゃなくて!聞けよ!
あっ?あ、ああ、うん、そうだけど。
……左近、強引だな……いや、なんでもないけど。
まあ、それでさ、煙硝蔵ってお前ら入った事あるっけ?
そうそう、火気厳禁で、灯りを持ち込んじゃいけないんだ。明かり窓もそんな大きくないから、常に薄暗い。
冬の曇りの日なんか大変だぜ。
暗いし寒いし、完全に影になっちゃって真っ暗になるところもある。
湿気が入るから本当は曇りと雨の日とかは開けない方がいいらしいんだけど、物が物だから、在庫の確認は1日も欠かせないんだって土井先生が言ってた。
それでさ、その日は曇りだったんだ。
どんよりした雲が空にかかってて、煙硝蔵の中はいっそう暗かった。
「うぇ……く、暗いね……」
「タカ丸先輩、曇りの日は初めてでしたっけ?」
「暗いですよねえ~、ぼくもまだちょっと怖いです……」
明かり取りの小さな窓から入る光は弱くて、ずらりと並ぶ大小の壺は影が濃かった。
……ま、まあ、俺もちょっと怖かったような気がしないでもないかな!
あそこ、静かだからさ……。
「はあー?伊助まだ慣れないのかよ?」
「むっ、じゃ、じゃあ三郎次……センパイは平気なんですかー?」
「お、おれは平気さ!こわくなんてない!」
「棒読みじゃん!三郎次もこわいんだ!」
「先輩をつけろ!このアホ!」
「もーほら二人とも喧嘩しなーい。今日は俺にお仕事教えてくれるんでしょ?」
「「すみませーん」」
タカ丸先輩って、俺たちに色々習ってる新人だけど、でも、やっぱり年上なんだよな……。
まあ、それで、在庫表をタカ丸先輩に見せながら、壺の置かれた棚を指差して、説明しようとしたんだ。
「これが……」と指差した先だ。
壺の影。
いつもより濃いその影の中ーー
ぎょろりと目玉がこっちを向いた。
「………………」
一対の、でっかい目玉だ。ニワトリの卵くらいの。
それが、壺の影になってるとこに浮いてた。
妙に丸みを帯びて見える目玉は、ゆっくりと瞬きをした。
「ひっ」
誰かの引き攣った声がして、俺も遅れて悲鳴を上げそうになった。
となりの壺の影に、もう一個。でかい目玉がこっちを見てた。
黒目がでかくて、でも光をひとつも反射してなくて、墨を塗ったくったみたいな、真っ黒な目だった。
そいつはまた、瞬きした。
棚の影に、もうひとつ、ふたつ、目が開いた。
そいつらは凍りついたように動けない俺たちをじぃっと見つめながら、また、 瞬きをする。
ひとつふたつみっつよっつ。
今度は向こうの棚、足元の壺の影、目の前の棚の影ーー4対の目玉が、増えて。
目玉の中に何かがいるようにぐりぐり黒目が動く。
それは、また 瞬きをした。
「「「ーーーーっぎゃ「三人ともどうしたのだあ?」久々知先輩/くん!!!!」」」
べつに!泣きそうになんか!なってねーーし!!
目玉の散らばった煙硝蔵にフツーに入ってきた先輩はめちゃくちゃ頼もしく見えた。
まったく動じてない、いつも通りの久々知先輩。
そんな先輩を見ていると目玉なんて大したもんじゃない…………ようには流石に思えなかったけど、ちょっと冷静になれた。
冷静になってみると、いつの間にかタカ丸先輩が俺たちを庇うように前に出てた。
伊助はタカ丸先輩と俺の服をしっかり握ってたし、俺は無意識で在庫表の板を構えてた。
お・ま・えぇ~、笑うなよ!
土井先生だって出席簿でタソガレドキ忍者に勝ったことあったじゃないか。乱定剣だ乱定剣!
で!そんな完全警戒態勢だった俺たちは置いといて、久々知先輩は「これはな、」っていつもの調子で口を開いて、
「こうすると消えるぞ」
と両手をピースの形にした。
そしたらさ、お前ら驚けよ。
ピースした手を近づけると、目がどんどん閉じて、消えていくんだ!
なんかさ、あ~、二枚貝とかって突くとシュッて閉じるじゃん?あれにソックリだったな。
あんな感じでどんどん逃げるみたいに消えてった。
「曇りの日や雨の日は、たまに出るんだ。蔵に入るときにこうやって入れば、大抵出ないから」
ーーという訳で、俺たち火薬委員は、煙硝蔵に入る時必ず空いてる手をピースにして入るんだ。
ちゃんと理由あっただろ!誰だよ仲良しわいわいクラブとか言ったの!俺たちはすごく真面目に委員会活動してるんだからな!
はあ?仲良しって言われて嬉し……いわけないだろばーか!ばああああかあああああ!!
通りすがりの上級生
久々知:
おい、どうしたのだぁ?なんだか三郎次が火を吹きそうな顔して走って行ったが……。つんでれ?
そうか三郎次もつんでれという人種だったのか。
三郎といい、なんだか大変そうなのだぁ。
ん?……ああ、そうだ。
煙硝蔵は前からあの目玉のお化けがよく出るところで、ある日鬱陶しくなって、目潰ししてやったのだ。
うん?そうだ、こうやってチョキみたいな風に指を二本突き出して、グサッと。
そしたら消えたので、それからというもの、目玉を見かけるたびに目潰ししていたんだ。
すると、手をチョキの形にするだけで目玉が引っ込むようになってな。
お化けといえども流石に学習するんだなとしみじみしたものだ……。
なので、後輩にはこうやって追っ払えと教えているのだぁ。
あ、わかってるとは思うが人間にはやっちゃダメだぞ。
尾浜:
へーすけ、普通お化けにだってそんなことしないからね?七松先輩じゃないんだからね?
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